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有色果実袋利用による、ブドウ「シャインマスカット」の果皮黄化およびかすり症軽減技術
[要約]
ブドウ「シャインマスカット」において、青色や緑色の果実袋は、白色の果実袋より果皮色の黄化を抑制し、「かすり症」の発生も軽減する
[キーワード]
ブドウ、シャインマスカット、果実袋、果皮色 、黄化抑制、かすり症
[担当]
山形県農業総合研究センター・園芸試験場・果樹部
[代表連絡先]
TEL 0237-84-4125
[区分]
東北農業・果樹(栽培)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
ブドウ「シャインマスカット」の幼木や長梢剪定樹の樹冠外周部では、果皮色が黄化しやすく、さらにかすり症が発生しやすい。そこで果皮色の黄化やかすり症の発生を軽減する技術として、青色や緑色の有色果実袋利用について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 白色袋に比較して青色袋、緑色袋で袋内の照度は低い(図1)。
- 「シャインマスカット」において 、有色果実袋を使用することにより白色袋と比べ、果皮色の黄化や「かすり症」の発生が軽減され、長梢剪定樹樹冠外周部や短梢剪定樹の若木などでは 、有色果実袋においても十分な食味が確保できる(表1)。
- 果皮の黄化とかすり症の発生は果粒肥大の影響を受けるが、同程度の肥大であれば、色彩色差計による果皮色評価では、有色袋のほうが緑色が濃く(a*値が低く)、果皮の黄化が抑制され(図2)、「かすり症」の発生も軽減される(図3)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象 ブドウ「シャインマスカット」生産者
- 普及予定地域・普及予定面積 「シャインマスカット」作付け地域
- 栽培条件・留意事項等
- 供試樹
長梢剪定X型仕立て樹:テレキ5BB台15年生樹(結実13年目)雨除け栽培(雨樋有り)
短梢剪定H型仕立て樹:テレキ5BB5年生樹(結実2年目)簡易雨除けトンネル栽培
- 供試果実袋
白色袋、緑色袋は小林製袋社(商品名:グレープ20)でサイズは幅215mm×高さ315mm、青色袋は福友産業社(商品名:エリート特大)でサイズは幅220mm×高さ320mmである。
- 栽培条件
開花直前にSM剤200ppmを散布し、花穂の整形は先端4cmを基本に開花始期に実施した。第1回目GA処理は満開3日後にGA25ppm+FL2ppm、第2回目GA処理は満開14日後にGA25ppmで実施した。なお、短梢剪定樹では展葉8枚時にFL2ppmの花穂処理を行い、展葉11枚時にメピコートクロリド剤2000倍を散布した。
長梢剪定樹では8房/3.3平方メートル、短梢剪定樹は7〜8房/mで着砲房し、摘粒は45粒を目安に7月上中旬に実施した。長梢剪定樹では8月上旬に副梢の摘心を、短梢剪定樹では7月と8月に生育の旺盛な新梢と副梢を摘心した。なお、各果実袋は8月上旬に袋かけを行った。
*SM:ストレプトマイシン、GA:ジベレリン、FL:ホルクロルフェニュロン
- 使用上の留意事項
相対照度の低い長梢剪定樹の樹冠内部等では、果皮色の黄化やかすり症の発生が少ないので、有色果実袋は日当たりの良い部分での利用とする。なお、相対照度の低い部分で有色袋を利用する場合は、糖度の上昇が遅れる傾向があるので、十分に食味が向上してから収穫する。
[具体的データ]




(山形県農業総合研究センター園芸試験場 米野智弥)
[その他]
- 研究課題名
- 園芸作物奨励品種決定調査
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2011〜2012 年度
- 研究担当者
- 米野智弥、今部恵里
- 発表論文等
- 米野ら(2013)園芸学研究 第12 巻 別冊2 p118