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湛水土中直播栽培におけるプロベナゾ−ル剤の減量施用による葉いもち防除

[要約]

湛水土中直播栽培において、プロベナゾール粒剤の減量湛水散布(2kg/10a)またはプロベナゾール複合肥料の側条施肥播種機による減量側条施用(20kg/10a)は、通常施用量と同等に葉いもちに対し防除効果を示す。

[キーワード]

プロベナゾール粒剤、プロベナゾール複合肥料、葉いもち、減量施用、湛水土中直播

[担当]

秋田県農業試験場・生産環境部・病害虫担当

[代表連絡先]

電話018-881-3327

[区分]

東北農業・基盤技術(病害虫)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

秋田県の移植栽培ではプロベナゾール粒剤の減量施用(2kg/10a)やプロベナゾール複合肥料の減量施用(20kg/10a)技術が既に導入されている(平成元年度、14年度成果情報)。一方、湛水土中直播栽培(カルパー粉衣、落水出芽)における葉いもち防除は、プロベナゾール粒剤の水面施用やプロベナゾール複合肥料の側条施用が行われているが、同技術の検討は十分ではない。また、直播栽培では生産費に占める農薬費の割合が移植栽培に比べて大きく、生産現場からはより一層のコスト削減を求められている。そこで、湛水土中直播栽培圃場でプロベナゾール剤の減量施用による防除効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 湛水土中直播栽培において、6月下旬にプロベナゾール粒剤(成分:8%)を2kg/10a湛水散布すると、無処理区に比べ葉いもちの発生が少なく、秋田県における同剤の通常施用量(3kg/10a)と同等の防除効果を示す(表1)。
  2. プロベナゾール複合肥料の20kg/10aを播種時に側条施用すると、無処理区に比べ葉いもちの発生が少なく、同剤の通常施用量(40kg/10a)と同等の高い防除効果がある(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 2013年の秋田市Y地区における試験は水稲品種「ナツミノリ」、それ以外の試験は「あきたこまち」を供試し、県内の葉いもちの全般発生開始期(平年7月5日)は2011年が7月7日、2012年が7月11日、2013年が7月8日である。
  2. 農薬登録上のプロベナゾール粒剤の使用量は3〜4kg/10a、プロベナゾール複合肥料の使用量は40kg/10a(現物)である。
  3. プロベナゾール複合肥料(商品名:オリゼメート入り複合燐加安264)はプロベナゾール(成分:0.6%)が添加してある側条施肥専用肥料(N-P2O5-K2O=12:16:14)であり、必要に応じて、全層施肥や追肥を組み合わせる。

[具体的データ]

(秋田県農業試験場)

[その他]

研究課題名
水稲湛水直播栽培における効率的ないもち病防除法の確立
予算区分
受託
研究期間
2011〜2013 年度
研究担当者
藤井直哉、佐山 玲、齋藤隆明