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積雪寒冷地水田におけるコスト低減のためのリン酸減肥が水稲生育・収量に及ぼす影響
[要約]
積雪寒冷地低地土水田のリン酸50%減肥栽培では生育、精玄米収量への影響はみられない。無リン酸栽培では土壌のトルオーグリン酸やFe型リン酸が少ないと初期茎数が減少するが、精玄米収量は慣行栽培と同等である。
[キーワード]
水稲、リン酸、減肥、初期茎数、精玄米収量
[担当]
山形県農業総合研究センター食の安全環境部
[代表連絡先]
電話023-647-3500
[区分]
東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
肥料価格高騰のため、リン酸施肥量の減肥が求められている。一方でリン酸が蓄積している水田もみられる。そこで、可給態リン酸の異なる水田でリン酸減肥栽培を継続し、水稲の生育、収量、品質への影響を評価する。
[成果の内容・特徴]
- 積雪寒冷地低地土水田における基肥リン酸の50%減肥栽培では、生育、収量、品質は慣行栽培と同等である(表1、図1)。
- 基肥リン酸を75%減肥、または無リン酸栽培した場合、土壌のトルオーグリン酸、Fe型リン酸が少ない場合や年次により初期茎数が減少する(表1)。
- 基肥リン酸の減肥により土壌のトルオーグリン酸は減少し、50%減肥の場合1年間で最大1.6mg/100g程度減少する(図2)。
- 基肥リン酸の50%減肥栽培や低PK銘柄肥料を用いた場合、肥料コストが2割程度低下する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- 水稲品種「はえぬき」を栽培する東北地域の平坦部に適用する。黒ボク土等の場合、異なる試験結果となるため、別途検討が必要である。
- 2〜3年ごとの土壌診断に基づいた土づくりにより地力改良基本指針の改良目標値(トルオーグ値)10mg/100gを下回らないよう可給態リン酸を維持する。なお、診断により改善目標値を下回った場合は減肥を中断する。
[具体的データ]




(塩野宏之)
[その他]
- 研究課題名
- 水田土壌におけるリン酸施肥削減技術の開発
- 予算区分
- 委託プロ
- 研究期間
- 2010〜2012年度
- 研究担当者
- 塩野宏之、齋藤 寛、水戸部昌樹、横山克至、中川文彦、熊谷勝巳