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チモシー草地へのアカクローバ追播には刈取当日の播種が有効

[要約]

チモシー主体草地へのマメ科牧草導入には、刈取直後のアカクローバ追播が効果的である。簡易改造を加えた散粒機をモアコンディショナに装着することにより刈取同時追播が可能となり、調製作業中のトラクタ走行により鎮圧が行われ定着が促進される。

[キーワード]

チモシー、アカクローバ、追播、踏圧

[担当]

(地独)青森県産業技術センター畜産研究所・酪農飼料環境部

[代表連絡先]

電話0175-64-2791

[区分]

東北農業・畜産飼料作

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

アカクローバは嗜好性・栄養性・消化性が高い優れた粗飼料であるが、イネ科牧草との混播栽培ではイネ科牧草との競合・踏圧害等により経年的に衰退しやすい。そこで、アカクローバが減少した草地の植生回復のため、簡易追播技術を開発する。そのため、酪農家が一般的に所有するモアコンディショナに装着可能な安価な播種機を考案し、追播時期、追播後の鎮圧の有無が追播草の定着に及ぼす影響を調査した。

[成果の内容・特徴]

  1. チモシー草地刈取直後にアカクローバを追播し3日以内に鎮圧すると、アカクローバ率は1番草刈取当日追播では翌年の1番草で、2番草刈取当日追播では翌年2番草で顕著に高まる。2番草刈取後の追播は1番草刈取後に比して定着程度が高い(表1)。
  2. 刈取3日後に追播し鎮圧を行わない場合は、追播草の定着率は低い(表1)。
  3. 田植同時除草剤散粒機を改造してマメ科牧草用播種機とすることができ、それをモアコンディショナに装着することで刈取同時追播が可能となる。この改造及び装着は、特殊な技術を要せず容易にできる(写真1)。
  4. 播種機の散布幅及び散布方向は飛散調節扉により設定可能であり、追播種子はモアコンディショナで刈り倒したスワス間に散布できる(写真1)。
  5. 牧草のサイレージまたは乾草調製作業において、テッダー及びレーキ等を牽引するトラクタの走行により圃場のほぼ全面に踏圧が加えられるため、カルチパッカ等を用いた追播後の鎮圧作業を改めて行う必要はない(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 利用4〜5年目のチモシー草地にアカクローバを2 kg/10a 追播した成績である。供試した品種はチモシーは「クンプウ」、アカクローバは「マキミドリ」である。
  2. 田植同時除草剤散粒機は(株)丸山製作所製イノベータII(販売価格84,000 円程度)を用いた。
  3. 播種機に種子タンクを増設する場合、タンクや接続ホースの勾配は追播牧草種子の安息角以上とする。クローバ種子の安息角はおおむね33 度である。
  4. 散粒機のモアコンディショナへの装着は、本体に同梱されている取り付けアームを加工して用いるが、予めパーツリスト等により装着の可否を検討する必要がある。
  5. モアコンディショナに装着した播種機による刈取同時追播機械体系におけるアカクローバの定着程度は確認していない。

[具体的データ]

(佐藤義人)

[その他]

研究課題名
マメ科牧草主体草地の維持管理及び給与技術の確立
予算区分
県交付金
研究期間
2011 〜 2013 年度
研究担当者
佐藤義人