研究所トップ研究成果情報平成25年度

NFC/DIPが4程度の飼料では黒毛和種去勢肥育牛の尿石症リスクが高まる

[要約]

黒毛和種去勢肥育牛においてNFC/DIP≒4の飼料を給与することは尿石症発症リスクを高める。また、肥育中期(14〜21か月齢)のBUNが21mg/dl以上のとき尿石症発症率が高まることから、肥育中期のBUN測定は尿石症発症リスクの判定に利用できる。

[キーワード]

尿石症、NFC/DIP、BUN

[担当]

岩手県農業研究センター畜産研究所・家畜育種研究室

[代表連絡先]

電話019-688-4328

[区分]

東北農業・畜産飼料作

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

黒毛和種去勢肥育牛における尿石症の発症予防に資するため、肥育中期以降の給与飼料中の非繊維性炭水化物(NFC)とルーメン内の微生物によって分解される分解性蛋白質(DIP)との比率(NFC/DIP)と尿石症発症との関連を明らかにする。 また、血液と尿の各成分と発症との関連を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 肥育中期以降におけるNFC/DIP≒4の飼料給与は尿石症発症リスクを高める(表1)。
  2. 肥育中期のBUNが21mg/dl以上のとき尿石症発症率が高まることから、肥育中期のBUN測定は尿石症発症リスクの判定に利用できる(表2)。
  3. 尿pHはNFC/DIPが4から6ほどの範囲では、尿石症発症リスクを判定するうえで有効ではない(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果情報における尿石症発症とは尿石が尿道内に詰まり尿閉となった状態を示す。
  2. 市販配合飼料に稲わらを10%添加した飼料への大豆粕フレーク添加割合とNFC/DIPの関係は参考1のとおりであり、大豆粕フレークを10%以上添加するときは尿石症に注意が必要である。

[具体的データ]

(児玉英樹)

[その他]

研究課題名
和牛肥育における尿石症予防のための飼養管理技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2010〜2013年度
研究担当者
児玉英樹