研究所トップ研究成果情報平成25年度

贈答用リンゴの顧客拡大にむけた「おすそわけ袋」の消費者評価

[要約]

「おすそわけ袋」はリンゴをおすそわけする際に利用する小分け袋で、商品の解説や生産者の連絡先を記載している。「おすそわけ袋」に対する消費者の評価は高く、おすそわけ先の消費者に商品情報を伝え購買意欲を喚起する効果がある。

[キーワード]

リンゴ、贈答、おすそわけ、商品情報、顧客拡大

[担当]

経営管理システム・ビジネスモデル

[代表連絡先]

電話019-643-3493

[研究所名]

東北農業研究センター・生産基盤研究領域

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

贈答やおすそわけなど消費者間で行われるリンゴの授受は、農家直販における顧客の拡大につながる可能性がある。特におすそわけは、通常であれば生産者が直接アクセスできないような消費者にリンゴが届くため、新たな顧客を獲得する絶好の機会となる。そこで、おすそわけ先の消費者に商品のPRをするとともに、生産者への注文が可能となるためのツールとして「おすそわけ袋」を考案し、その活用可能性と「おすそわけ袋」に対する消費者の評価を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 「おすそわけ袋」はリンゴを受け取った消費者が、おすそわけをする際に利用する小分け袋である。表面に商品のロゴマークを、裏面に商品の解説と生産者の連絡先を記載することで、おすそわけ先の消費者に商品のPRをすることができる(図1)。
  2. 「おすそわけ袋」の流れと期待される効果を示す。まず、贈答の場合は消費者Aが、自家購入の場合は消費者Bが生産者に注文することで、消費者Bの手元にリンゴやパンフレットなどの商品情報が届く。消費者Bがさらにリンゴを購入したい場合にはパンフレットの情報を参考に生産者に注文することができる。一方、通常であればおすそわけ先である消費者Cにはリンゴしか届かないため、消費者Cが直接生産者にアクセスすることは困難である(図2)。しかしそこで「おすそわけ袋」が利用されると、消費者Cにも商品情報が届き、生産者への注文が可能となる(図3)。
  3. リンゴを贈答する立場の消費者Aは、「おすそわけ袋」に対する評価が高く、自分が贈る時には入っていた方が良いと答えている。また、消費者Bの9割以上は届いたリンゴを他の人におすそわけしているが、そのうち「おすそわけ袋」を利用した消費者は8割以上にのぼり活用可能性は高い。さらに、9割以上が「次回も入っていた方が良い」と答えており、「おすそわけ袋」に対する評価は高い(表1)。
  4. おすそわけされる立場の消費者Cは、7割以上が「おすそわけ袋」の解説を読んでおり、自分でも同じ生産者から購入したいと考えている。このように、「おすそわけ袋」はおすそわけ先の消費者に商品情報を伝え購買意欲を喚起する効果がある(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 贈答用リンゴを直接販売している生産者が顧客拡大を図る際に活用できる。さらに、リンゴ以外の果物の贈答についても応用の可能性がある。
  2. 「おすそわけ袋」の単価は使用する色数や印刷枚数によって異なる。今回の調査では1枚当たり32円(税抜き)のものを、1箱に2枚ずつ入れている。
  3. 「おすそわけ」行為の顧客拡大効果については、2012年研究成果情報「農家直販における贈答用リンゴの顧客拡大プロセス」を参照のこと。

[具体的データ]

(磯島昭代、長谷川啓哉)

[その他]

中課題名
地域農業を革新する6次産業化ビジネスモデルの構築
中課題番号
114b0
予算区分
交付金、科研費
研究期間
2010〜2013 年度
研究担当者
磯島昭代、長谷川啓哉
発表論文等
磯島(2013)農村経済研究、31(1): 25-32