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ゼオライトによる梅漬けおよび梅酒の放射性セシウム低減
[要約]
放射性セシウムを含むウメを用いて梅漬けおよび梅酒加工を行う際、ゼオライトを一緒に漬け込むことにより、加工後の梅漬けおよび梅酒に含まれる放射性セシウムを低減できる。
[キーワード]
放射性セシウム、ウメ、梅漬け、梅酒、ゼオライト
[担当]
福島県農業総合センター・生産環境部
[代表連絡先]
電話024-958-1719
[区分]
東北農業・農業生産基盤(流通加工)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
食品に含まれる放射性物質については農産物のモニタリング検査や加工品の放射性物質検査が行われており、基準値を超える食品は流通していないが、本研究では放射性物質のさらなる低減を目指し、ウメ加工品から放射性セシウムを除去する方法について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 梅漬け加工の際、1〜2 mm程度に破砕または粉末を造粒したゼオライトを、不織布のバッグに入れる。ウメ(小梅)と原料重量比20%の食塩を一緒に1ヶ月間漬け込んだ実験区では、ゼオライトを用いない対照区(55.6 Bq/kg)よりも放射性セシウム濃度が低下する(ゼオライト10%区では30.5 Bq/kg、ゼオライト20%区では30.2 Bq/kg)。また、塩分濃度20%の塩水漬けでもゼオライトの使用により、ウメの放射性セシウム濃度が低下する(17.2 Bq/kg)。造粒ゼオライト10%区では41.2Bq/kgで、破砕ゼオライトを用いる方が放射性セシウムの除去効果が高かったが、これは粒径が影響している可能性が考えられる(表1)。
- 梅酒加工の際、1〜2 mm程度に破砕または粉末を造粒したゼオライトを不織布のバッグに入れ、ウメ(小梅)1000 gと等重量の氷糖、1800 mLの果実酒用焼酎(35度)と一緒に3ヶ月間漬け込む。梅酒の放射性セシウム濃度は、ゼオライトを用いない対照区(15.3 Bq/kg)よりもゼオライト添加区で放射性セシウム濃度が低くなる。すなわち、ゼオライト10%区では9.26 Bq/kg、ゼオライト20%添加区では5.82 Bq/kg、造粒ゼオライト10%添加区では8.68Bq/kgとなる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 梅漬けおよび梅酒の放射性セシウム濃度の低減が可能となる。
- ゼオライトは食品添加物として認められているが、放射性セシウム除去を目的とした利用実績が無いため、本方法を実用化する際には管轄区域の保健所へ確認した後に使用することが好ましい。
- ゼオライトの微粉末が出ないように不織布のバッグは2重にするとよい。
- ゼオライトの使用により、味がわずかに変化する。
[具体的データ]
(福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 農産物における放射性物質の除去技術の開発
- 予算区分
- 日本食品化学研究振興財団研究助成金
- 研究期間
- 2013 年度
- 研究担当者
- 関澤春仁、丹治克男