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四季成り性イチゴ「なつあかり」における増収のための長日処理方法
[要約]
四季成り性イチゴ「なつあかり」の春定植作型では、定植期から8 月にかけて24 時間日長と自然日長とを交互に2 週間間隔で行い、9 月以降は日長延長処理を行う長日処理により増収する。電照は白熱灯を光源とし、75W電球で植物体上70 p程度高さ3m間隔以下に設置する。
[キーワード]
なつあかり、春定植栽培、長日処理、24 時間日長、白熱灯
[担当]
(地独)青森県産業技術センター野菜研究所・栽培部
[代表連絡先]
電話0176-53-7175
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
四季成り性イチゴ「なつあかり」は良食味であるが、連続出蕾性の弱さから年次や時期により収穫量が変動するため、安定多収となる生産技術が求められていた。一方、四季成り性イチゴは長日条件により花芽分化・発達が促進されることが知られている。そこで、「なつあかり」の春定植作型の夏秋どり栽培における増収と12 月まで収穫を延長するための長日処理方法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 春定植作型では、春夏電照を花芽分化・発達を促進することを目的として、定植期から8 月にかけて、24 時間日長と自然日長とを交互に2 週間間隔で行い、夏秋電照を生育促進やわい化の防止を目的として、9 月上旬から16 時間日長となるように夕方以降に日長延長を行う長日処理により増収する(図1、2)。
- 長日処理の電照は、75W白熱灯の場合には植物体上70 p程度の高さで3m間隔以下に設置する(表1)。
- 24 時間日長の2 週間処理による花芽分化促進には、今回使用した遠赤色LEDや蛍光灯では実用性がないため、白熱灯を光源とする(表2)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:四季成り性イチゴ「なつあかり」生産者、四季成り性イチゴ品種生産者
- 普及予定地域・普及予定面積:北東北を中心に四季成り性イチゴ「なつあかり」が栽培される地域。これまで、四季成り性イチゴ「なつあかり」の連続出蕾性の弱さから栽培が困難であった生産者及び地域でも、長日処理が普及することで、栽培が容易になる。現在青森県で「なつあかり」の作付面積は0.87ha(平成24 年度青森県調べ)。
- その他:
- 長期間の連続照射では花芽が多くなりすぎて、芯止まり等によりその後の生育不良を招くことがある。一方、四季成り性イチゴ「なつあかり」は 24 時間日長であれば 2〜3 週間で花芽分化する(濱野、「四季成り性品種を利用した夏秋どりイチゴの栽培技術」 東北農研センター、2011 年発行、13〜18 ページ)ことから、春夏期の長日処理期間は 2 週間毎とする。
- 四季成り性イチゴ「なつあかり」以外の品種では未検討である。
- 四季成り性イチゴ「なつあかり」の新規作付け者から長日処理方法についての問い合わせがある。これまで、食味の良さを認めながら低収との理由で作付けを控えていた生産者が次年度からの栽培に意欲を示している(複数件)。
[具体的データ]




( 伊藤篤史)
[その他]
- 研究課題名
- 涼しい夏を活かす!国産夏秋イチゴ安定多収技術の開発・実証
- 予算区分
- 農食事業(実用技術)
- 研究期間
- 2011〜2013 年度
- 研究担当者
- 伊藤篤史、庭田英子、岩瀬利己