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イチゴの短日送風処理による夏秋どり作型における一季成り性品種の特性

[要約]

一季成り性イチゴは短日送風処理を6月から7月の2か月間実施することで、8月以降の収穫が増える。「かおり野」は多収であり、8〜9月の半旬別の収量の変動が小さい。「雷峰」は果実硬度と酸度が高く、「紅ほっぺ」と「さがほのか」は糖度が高い。

[キーワード]

イチゴ、一季成り性品種、夏秋どり、短日送風処理

[担当]

岩手県農業研究センター・技術部・南部園芸研究室

[代表連絡先]

電話0192-55-3733

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

夏秋期のイチゴの栽培には四季成り性品種が業務用として多く用いられている。一方、短日条件で花芽分化する一季成り性品種は生食用として用いられているが、短日送風処理による夏秋どり作型での品種特性について十分な知見が得られていない。そこで、一季成り性品種の同作型における特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 一季成り性品種「かおり野」、「雷峰」、「紅ほっぺ」、「さがほのか」について、4月に苗を定植し、短日送風処理(明期9時間)を6月から7月の2か月間実施することにより、いずれでも7月以降の出蕾がみられ(表1)、短日送風処理をしない場合に比べて8月以降の収穫が増え多収となる(図1)。
  2. 「紅ほっぺ」は10 月以降の収量が少なく、「さがほのか」はコンスタントに収穫できるものの9月以降の収量が少ない(図1)。「かおり野」は「雷峰」に比べて8〜9月の半旬別の収量の変動が小さい(図2)。
  3. 「紅ほっぺ」と「さがほのか」は「かおり野」、「雷峰」に比べて糖度が高く、果実硬度は低めである。「雷峰」は糖度が低めで、果実硬度及び酸度が高い(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は、岩手農研本部(北上市)での高設栽培による結果である。
  2. 短日送風処理は、被覆内部の昇温防止を目的に、短日処理中に循環扇等を用いて被覆内部へ外気を送風する処理である。詳しくは、2009 年度の岩手県農業研究センター試験研究成果「一季成り性イチゴ「さがほのか」の夏秋期生産における送風処理を併用した短日処理、芽管理の効果」(www2.pref.iwate.jp/~hp2088/seika/h21/h21_kenkyu15.pdf)を参考のこと。
  3. 定植苗は前年秋に親株から採苗し、5℃以上の環境下で越冬させ、育苗期間中に出蕾した果房は除去する。親株当たりのランナー発生数は10〜12 本(「かおり野」:10.2 本、「雷峰」:10.4 本、「さがほのか」:11.8 本(2013 年調査))であり、これを参考に必要な親株数を確保する。
  4. 夏季高温年は収量が低くなる傾向がある(図1)。
  5. 「かおり野」の栽培に当たっては、育成者である三重県の栽培許諾(有料)が必要である。

[具体的データ]

( 岩手県農業研究センター)

[その他]

研究課題名
イチゴ夏秋どり作型における適品種の選定と多収生産技術の確立
予算区分
県単研究、農食事業(実用技術)
研究期間
2010〜2013 年度
研究担当者
小田島雅、山田修、佐々木裕二