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メロンえそ斑点病に抵抗性の春系緑肉アールス系メロン新品種「秋試交32号」

[要約]

「秋試交32号」は「秋田甘えんぼ春系」にメロンえそ斑点病抵抗性を付与した春系緑肉のアールス系メロン新品種である。果実の外部特性および内部特性ともに「秋田甘えんぼ春系」と同等であるため、その代替品種として利用できる。

[キーワード]

えそ斑点病、春系、緑肉、アールス系、新品種

[担当]

秋田農試・野菜・花き部・園芸育種・種苗担当

[代表連絡先]

電話018-881-3330

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

本県育成品種群である「秋田甘えんぼ」シリーズの栽培面積は近年減少傾向にある。その原因の一つとしてメロンえそ斑点病による異常果実の混在により、果実品質がばらついていることが考えられる。そこで、「秋田甘えんぼ春系」にメロンえそ斑点病の抵抗性を導入した品種を育成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「秋試交32 号」は、罹病性F 1品種「秋田甘えんぼ春系」の親系統に市販のメロンえそ斑点病抵抗性F 1品種「ソナタ夏系」を交配し、その後戻し交雑を1回行い抵抗性を導入した2系統を親としたF 1品種である(図1)。
  2. 「秋試交32 号」はえそ斑点病汚染圃場で栽培しても茎葉への病斑の発生や、病果(発酵、低糖度、繊維が硬くスポンジ状となる等)の発生が見られず、メロンえそ斑点病に抵抗性を示す(表1)。
  3. 「秋試交32 号」のメロンえそ斑点病抵抗性以外の特性は、「秋田甘えんぼ春系」と同等である。果重は1.57kg、果形比は1.04、果皮色は灰緑色、ネットの太さと高さは「秋田甘えんぼ春系」と同等であるが、密度はやや高い。糖度は15.1%、果肉はやや軟らかく、果肉色は黄緑である。節間長およびうどんこ病抵抗性も同等である( 表2図2)。

[普及のための参考情報]

  1. 普及対象:秋田県内のメロン生産者。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:当面、種子の供給は秋田県内に限定し、「秋田甘えんぼ春系」の代替品種として約1 ha の見込み。
  3. その他:メロンえそ斑点病とつる割病(レース0、2)以外の土壌病害に対する抵抗性を保持していないため、それらの汚染圃場では土壌消毒が必要である。

[具体的データ]

(三浦一将)

[その他]

研究課題名
秋田ブランド野菜の産地拡大・強化を目指したオリジナル品種の育成
予算区分
県単
研究期間
2006 〜 2013 年度
研究担当者
椿信一、佐藤友博、三浦一将
発表論文等
品種登録出願中