研究所トップ研究成果情報平成25年度

夏秋パプリカ栽培における晩秋期の光照射追熟技術と増収効果

[要約]

晩秋期に果実表面の10%以上着色している果実を収穫し、15〜20℃の温度を確保しながら蛍光灯などで光を照射すると、4〜7日程度で出荷可能な状態まで着色する。この光照射追熟を晩秋期に行うことで95〜209kg/a(2割程度)の商品果の増収が見込まれる。

[キーワード]

カラーピーマン、夏秋栽培、蛍光灯、光照射、追熟

[担当]

山形県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室

[代表連絡先]

電話0234-91-1250

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

暖房を行わないパプリカの夏秋栽培では、秋期以降のハウス内気温の低下により着色が進まなくなる果実が大量に発生する。そこで、着色途中の果実を収穫し、光を照射しながら追熟することで着色を促進する光照射追熟技術を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 果実表面が10%以上着色した果実を乾燥しないようにポリ袋等に入れて、15〜20℃の温度を確保しながら蛍光灯により40cm 程度の距離から光を24 時間連続照射することで、赤色品種、黄色品種ともに4〜7日で90%以上まで着色する(図1)。なお、この場合の光強度はPPFD(光合成有効光量子束密度)にして50〜100μmol/平方メートル/s である。
  2. 光照射追熟は、ハウス内の平均気温が20℃以下に低下する10 月中下旬以降に実施すると効果が高い。光照射追熟を10 月以前に実施しても、着色までの日数は自然条件と大きく変わらない(図2)。
  3. 10 月下旬以降に光照射追熟処理を行った場合、品種により95〜209kg/a(2割程度)の商品果の増収が可能である(図3)。また、現地実証においても同程度の商品果の増収効果が認められ、出荷時期を延長できる(図4)。

[普及のための参考情報]

  1. 普及対象:パプリカ、カラーピーマン生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積:夏秋パプリカ産地(関東以北に推定10ha)
  3. 宮城県農業・園芸研究所の研究により、光照射追熟に適した温度は15〜 25℃ であること、光照射を行わずに追熟する場合は、15℃ 以上の温度の確保と50% 以上の着色が必要であることが示されている。
  4. (独) 農研機構野菜茶業研究所の研究により、10% 程度の着色で収穫し、光照射追熟により着色を促進させた果実は、通常の出荷基準( 80% 以上) で収穫した果実に比べて糖度が若干低下するが、実用上問題ないことが明らかになっている。

[具体的データ]

(古野伸典)

[その他]

研究課題名
カラーピーマンの光照射追熟技術を利用した増収栽培技術の開発
予算区分
農食事業(23004)
研究期間
2011〜2013 年度
研究担当者
古野伸典、後藤佳奈、伊藤聡子