肥育素牛育成における粗飼料多給効果


[要約]
肥育素牛の育成期に粗飼料をTDN割合で60%与えたものは、30%のものに比べ、育成期の増体重は少ないが、枝肉の脂肪交雑が改善され、筋間脂肪厚が薄くなる。
兵庫県立中央農業技術センター・畜産試験場・家畜部
[連絡先]   0790-47-1117
[部会名]   畜産
[専 門]     飼育管理
[対 象]     肉用牛
[分 類]      指導

[背景・ねらい]
 肥育素牛の過肥が従来より問題になっているにもかかわらず、改善される兆しはない。その原因として、素牛の評価において発育遅延が粗飼料多給によるものか、あるいは病的なものかを判断できない肥育農家がいることと、さらに、育成方法の違いがどの程度肥育成績に影響するかを具体的なデータとして示されていないことにある。そこで、育成期に濃厚飼料あるいは粗飼料を多給した牛の発育と肥育成績を検討した。

[成果の内容・特徴]

     父牛が同一である4か月齢の黒毛和種雄子牛8頭を用い、濃厚飼料多給区(全飼料中粗飼料からのTDN給与割合が約30%)と粗飼料多給区(同約60%)に分け、10か月齢まで育成した。濃厚飼料としては一般フスマ、圧ぺんトウモロコシ、大豆粕を50、40、10%の割合で配合したもの、粗飼料としてはチモシー乾草とヘイキューブを用い、TDN及び蛋白質の給与量は両区でほぼ同量とした。10か月齢以降の肥育期には両区ともに同一のものを給与し、30か月齢でと殺した。
  1. TDN摂取量は育成期、肥育期共に大きな差はない(表1)。育成期の1日増体量(DG)は濃厚飼料多給区が粗飼料多給区に比べ有意に高いが、肥育終了時の体重に差はない。また、育成期の胸囲は両区で差がみられず、増胸囲/増体重は粗飼料多給区が有意に高くなり、粗飼料多給区は、体重は軽いものの胸囲は両区に差がない(表2)。
  2. 枝肉成績では、粗飼料多給区が濃厚飼料多給区に比べ筋間脂肪厚は有意に薄くなり、脂肪交雑は高くなる。また、粗飼料多給区では皮下脂肪厚が薄く、歩留基準値は高くなる。総合的に粗飼料多給区の肉質は濃厚飼料多給区よりも優れる(表3)。
  3. 育成終了時の第一胃液の揮発性脂肪酸(VFA)組成は、粗飼料多給区は濃厚飼料多給区に比べ酢酸割合が高く、酪酸割合が低くなる(表4)。
     以上のことから、肥育素牛の育成期に粗飼料を多給すると、育成終了時の体重は軽いものの、胸囲は変わらず、筋間脂肪の少ない優れた肉質の枝肉が得られる。

[成果の活用面・留意点]

    肥育素牛の育成方法の指導に活用でき、肥育素牛の選定にも利用できる。

[その他]
研究課題名 : 肥育素牛育成における濃厚飼料あるいは粗飼料の多給が増体と肉質に及ぼす影響
予算区分   : 県単
研究期間   : 平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者 : 岡章生・道後泰治・壽圓正克・太田垣進
発表論文等 : なし
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