酸化銀および銀イオンを用いた養液栽培における病害防除


[要約]
銀の酸化物である酸化銀および可溶性の硝酸銀等銀化合物30ppbを水耕培養液 に添加することによって、根腐病菌遊走子が殺菌され、水耕栽培におけるキュウリ、ミツバ根腐病の発生を防止することができる。
大阪府立農林技術センター・環境部・病虫室
[連絡先] 0729-58-6551
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専 門]  作物病害
[対 象]  果菜類
[分 類]  研究

[背景・ねらい]
 銀イオンは微生物に対して極めて高い殺菌効果を有しており、また、その金属酸化物は水中で活性酸素を放出することにより、微量で極めて高い殺菌効果を示すことが知られている。この性質を利用して、養液栽培で発生する培養液伝搬性病害(根腐病・疫病等)の銀化合物添加による防除技術を開発し、養液栽培における生産安定化をはかる。

[成果の内容・特徴]

  1. 硝酸銀、硫酸銀、酸化銀の溶液は、Pythium aphanidermatumP.mriotylumP.sp. typeFの遊走子に対して30ppbで遊走子の運動を阻害し、50ppbで発芽を完全に阻害する(図1)。
  2. キュウリ根腐病(P.aphanidermatum )に対して硝酸銀を用いて発病抑制効果を調査したところ10ppbで発病が認められたが、30ppb以上では発病が抑制される(表1)。
  3. キュウリに対する障害は、硝酸銀濃度50ppb以上でやや生育抑制が認められ、100ppb以上で生育抑制が顕著となり、100ppmでは、植物体が枯死する(図2)。
  4. 銀酸化物を被覆した布(オクトクロス@ )を用いて防除試験を試みたところ、1t規模の水耕装置で培養液中の銀濃度が40ppb(布面積 3cm2 /リットル)でキュウリ根腐病の発病をほぼ抑制し(図3)、キュウリに対する障害は認められない。
  5. オクトクロスの根腐病抑制効果は、ミツバ根腐病(P.sp. type Fによる)についても有効である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 水耕培養液中にオクトクロスを添加する場合、銀の溶出に72時間の時間経過が必要である。
  2. 2次感染防止が目的で、発病前に処理する必要がある。根腐病菌の遊走子に感染した植 物体は、銀資材添加後も枯死する。
  3. 過剰量の投与、低pHでは作物に対して生育障害の生じる恐れがある。農薬としての登録はない。

[その他]
研究課題名 : 先行的調査研究事業
予算区分   : 府単
研究期間   : 平成9年(平成5〜9年)
研究担当者 : 草刈 眞一、岡田 清嗣
発表論文   : 銀被覆繊維布による水耕キュウリ根腐病の防除、日植病報、60:337-338、1994.
             養液栽培における培養液中への銀被覆繊維布添加によるキュウリ、ミツバ根腐病の防除とキュウリ果実の銀残留量、日植病報、64:50-56.
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