トルコギキョウの低温処理温度及び期間の改善


[要約]
トルコギキョウ苗の低温処理を10℃で始め、苗の一部が抽だいを開始した場合には、5℃に低下させ、相対湿度70〜90%で45日以上行うことにより、低温処理中の抽だいによる徒長や定植後の抽だい不良をほぼ完全に回避できる。
和歌山県暖地園芸センター・園芸部
[連絡先]  0738-23-4005
[部会名]  野菜・花き(花き)
[専 門]   栽培
[対 象]   花き類
[分 類]   普及

[背景・ねらい]
 トルコギキョウにおけるロゼットの打破または回避のための苗の低温処理では、これまで10〜12℃で35日程度の処理が良いとされ普及してきた。しかし、低温処理中の抽だいによる徒長や定植後の抽だい不良等が問題となっており、改善が求められている。そこで低温処理法の改善によりこれらの問題を解決する。

[成果の内容・特徴]

  1. ロゼットの打破に必要な低温処理期間は、品種や気温等の育苗前歴によって異なる(表1)。
  2. ロゼット回避苗を2℃、5℃、10℃で低温処理すると、10℃区ではほとんどの株が低温処理中に抽だいを始めるが、5℃以下では60日処理でも処理中の抽だいは認められない(表略)。
  3. 低温処理中の温度が10℃より低い温度でもロゼットを打破することができるがロゼット打破に必要な処理期間は長くなり、2℃処理では47日以上の処理期間が必要となる(表2)。また、2℃では処理中の抽だいは起こらない。
  4. 5℃で低温処理を行った場合、冷蔵中の相対湿度が低い(40〜50 %)とロゼット打破率が著しく低下する(表3)。

[成果の活用面・留意点]

     2〜5℃での低温処理中の相対湿度が90%を超えると部分的に結露が生じることがあり、灰色かび病等の発生を助長することになる。また、相対湿度が著しく低下すると苗に萎れが生じる場合がある、このため相対湿度の管理には十分注意する。

[その他]
研究課題名 : トルコギキョウの新産地化技術開発
予算区分   : 県単
研究期間   : 平成8年度(平成5〜9年)
研究担当者 : 嶋本久二、上山茂文、中井伸人
発表論文等 : トルコギキョウの苗の低温処理法の改善に関する研究(第2報)、園芸学会雑誌、65巻別冊2、1996.
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