- [要約]
- スターチス・シヌアータの促成栽培のための育苗において、種子の低温処理後のクーラー育苗途中で、本葉3〜4枚程度のセル成型苗を、30日間、2℃、16時間照明下で低温処理することにより、定植後の抽だい開花を促進することができる。
和歌山県暖地園芸センター・園芸部
[連絡先] 0738-23-4005
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専 門] 栽培
[対 象] 花き類
[分 類] 普及
-
[背景・ねらい]
- 種子系スターチス・シヌアータにおける暖地での促成栽培のための育苗は、種子の春化処理(以下「種子低温処理」)を行った後にクーラー室で涼温育苗を行う方法が一般化している。しかし、品種またはクーラー室温度等の違いにより抽だいの不揃いや開花時期の年次変化が問題となる。その改善方法として、セル成型苗利用による育苗途中での植物体春化処理(以下「苗低温処理」)の併用(以下「種子+苗低温処理」)を行う方法を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 処理方法は、表1に示すとおり、は種後20℃で24時間催芽を行い、2℃暗黒で30日間の「種子低温処理」を行う。その後20日間クーラー育苗(max25℃、min15℃)を行い、セルトレーの状態で2℃、16時間照明(蛍光灯で300〜800 lux)下で30日間の「苗低温処理」を行う。
- セル成型苗での低温処理後の葉数増加は、ほとんど認められず生存株率も100%である(表2)。
- 抽だい開始日及び収穫開始日は、「種子+苗低温処理」で早くなる(表3)。
- 切り花品質についても出荷に十分なものである(表4)。
[成果の活用面・留意点]
- スターチス・シヌアータでの促成栽培のための育苗で「種子低温処理」に、セル成型苗での「苗低温処理」を併用することは、開花促進に有効である。
- セル成型苗の低温処理中のかん水は、吸水マットによる底面吸水で省力化できる。
[その他]
研究課題名 : 黒潮フラワーエリア産地化推進技術開発(主要花きの育苗技術)
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成8年度(平成8〜9年)
研究担当者 : 上山茂文、嶋本久二、中井伸人
発表論文等 : スターチス・シヌアータのセル成型苗での育苗途中での植物体春化処理が抽だい開花に及ぼす影響、園芸学会誌、66巻別冊2号、1997.
目次へ戻る