- [要約]
- タマネギ跡に水稲乾田直播を導入することにより、春作業の競合が軽減され、冬作物の野菜等を新たに取り入れやすくなるため、土地利用率の向上並びに所得の向上が図れる。
山口県農業試験場・経営作物部・営農生活研究室
[連絡先] 0839-27-0211
[部会名] 営農
[専門] 経営
[対象] 稲類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
- 水稲を基幹として露地野菜等を生産する多くの地域では、担い手不足により生産構造が著しく脆弱になっている。これらの地域では、規模拡大志向農家の新たな輪作技術体系が模索されている。そこで、露地野菜との組み合わせによる水稲乾田直播の農家経営への導入を支援する。
[成果の内容・特徴]
- 水稲乾田直播の経営評価
- 露地野菜跡での水稲乾田直播は可能で、10a 当たり延べ作業時間 7時間、単収519kg 、生産費6万5千円程度である(表1,2)。
- 水稲乾田直播の省力効果
- 水稲乾田直播の省力効果により、「水稲+タマネギ経営」において作付拡大が可能となる(表3)。
- 地域輪作への応用
- (1) 水稲乾田直播の導入により、+5.7haの規模拡大が図れる。
- (2) 水稲乾田直播及びタマネギの機械化一貫体系の組み入れにより、水稲14.5ha(移植6.6ha、直播7.9ha)、タマネギ 0.4haの作付が可能となり、労働時間が2,200 時間余りで、最大所得は1,258万円と試算される(表4)。
- (3) 水稲乾田直播の導入による規模拡大が進むと6月上・中旬及び11月上旬の労働力、6月上旬の耕起作業が制限要因となり、経営規模の限界面積に達する。
[成果の活用面・留意点]
- 大区画圃場(1ha)における実証試験数値を用い、線形計画法(faps)により経営規模、所得を算出した。
- 1単位(基幹労力1,補助労力1,機械のセット1)での試算結果であることに留意する。
- タマネギの機械固定費については、共同利用及び補助等を想定して1/2圧縮とした。
[その他]
研究課題名 : 水稲直播を基幹とした野菜・麦類の輪作技術体系化経営実証試験
予算区分 : 地域基幹
研究期間 : 平成10年度(平成8〜10年)
研究担当者 : 寺山 豊 、斉藤昌彦
発表論文等 : なし
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