- [要約]
- 受託農家の重視する作業受託条件は、耕起が「排水の良否」、移植が「農道の幅」、 刈取が「倒伏」である。また、平坦地域では、「農道の幅」や農振地域等の「土地区分」、中山間地域では、「ほ場の傾斜程度」を重視する傾向にある。
岡山県立農業試験場・経営調査部
[連絡先] 08695-5-0271
[部会名] 営農
[専門] 経営
[対象] 稲類
[分類] 行政
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[背景・ねらい]
- 耕作放棄地の増加により、作業受委託は、受け手市場の傾向が強まっている。このため円滑な作業受委託を推進するための条件を明らかにする必要がある。そこで、岡山県下の受託農家を対象に主要作業に関する意向調査を行い、県南の平坦地域と県北の中山間地域における受託条件の特徴を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 耕起作業では「排水の良否」、「ほ場の傾斜程度」、「農道の幅」、「畦畔管理の程度」等が重視されており、平坦地域では「農道の幅」が、中山間地域では「ほ場の傾斜程度」が特に重視されている(図1)。
- 移植作業では「農道の幅」、「漏水の有無」、「ほ場の傾斜程度」、「作業料金水準」、自宅からの「距離」等が重視されており、平坦地域では「漏水の有無」が、中山間地域では「ほ場の傾斜程度」を重視する傾向が強い(図2)。
- 刈取作業では「倒伏」、「排水の良否」、「農道の幅」、「ほ場の傾斜程度」が重視されており、平坦地域では「農道の幅」が、中山間地域では「ほ場の傾斜程度」が特に重視されている(図3)。
- 各作業に共通して平坦地域では、ほ場そのものより、「農道の幅」や「土地区分」に関する条件を重視する傾向にあり、中山間地域では、ほ場条件の中でも「ほ場の傾斜程度」を強く重視する傾向にある(図1、2、3)。また、ほ場の自宅からの「距離」が、各作業に共通して平坦地では重視されていることから、受託作業の円滑な斡旋を行うため、平坦地域では、「移動に関する条件」、中山間地域では効率的な機械作業の可否に影響する「地形に関する条件」の情報を提供することが重要である。
[成果の活用面・留意点]
- 作業受委託に当たって農家が重視する項目は、経営の発展段階、水稲の栽培法、作付体系等によって異なっていると考えられる。
[その他]
研究課題名 : 水田条件別農作業受委託の成立条件
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成9年度(平成9〜11年)
研究担当者 : 喜井 啓
発表論文等 : なし
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