ウンシュウミカン園のシートマルチによる省力化


[要約]
ウンシュウミカン幼木園の苗木定植時から樹冠下を1u開口させるシートマルチは除草作業を軽減し、幼木の成長・収量を良好にする。また、急傾斜地階段園の周年にわたる部分マルチは肥料成分の流亡を抑制し草管理の労力軽減に役立つ。
和歌山県農林水産総合技術センター・果樹園芸試験場・品質環境部 
[連絡先] 0737-52-4320
[部会名] 果樹、生産環境(土壌・気象) 
[専門]    栽培    
[対象]    果樹類 
[分類]    普及

[背景・ねらい]
 ウンシュウミカンの改植園では、幼木の間、雑草の成長が極めて旺盛で草管理に多大の労力を要している。また、本県に多い急傾斜地階段園は、土壌や肥料成分の流亡が多く、これに対して、現地では客土や流亡抑制のための有機物マルチ等を行っているが重労働である。
 そこで、周年にわたる部分的なシートマルチによる省力効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 高畝園及び傾斜地階段園のシートの敷設は図1に示すように行う。
  2. 高畝栽培において、シルバーポリ区、透湿性防草シート区は裸地清耕区に比べ、生草量 は1/2以下、除草作業時間は裸地区の1/5に減じられる(図2)。また、シルバーポリ区、透湿 性防草シート区は裸地清耕に比べ幼木の成長が優れる(表1)。
  3. 傾斜地階段園において、土壌表面流去水のNO3−N濃度は、特に秋肥施用後、裸地区に比 べ部分マルチで1/3以下と低く、肥料成分の流亡を軽減でき(図3)、除草作業に要する時間が1/2以下に軽減できる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 高畝園では、定植後5年間、マルチの開口部は1uでも充分である。
  2. 傾斜地階段園では、一列植えの植栽方式が敷設容易であり効果も高い。

[その他]
研究課題名 : 急傾斜地カンキツ園における軽労働・省力小型機械化生産体系の構築
予算区分    : 地域基幹農業技術体系化促進研究
研究期間    : 平成10年度(平成6〜10年)
研究担当者 : 横谷道雄、鯨幸和、田端洋一、菅井晴雄 
発表論文等 :
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