- [要約]
- ろ紙にCO2 検知試薬を吸着後乾燥させ、厚さ0.03mmのポリ袋で密封したものを、CTSD脱渋(CO2 95%以上16〜24h処理)前にコンテナに張り付けておけば、ろ紙の色変化で簡易にCO2 処理の有無が識別できる。
和歌山県農林総合技術センター果樹園芸試験場紀北分場
[連絡先] 0736-73-2274
[部会名] 果樹
[専門] 加工利用
[対象] 果樹類
[分類] 普及
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[背景・ねらい]
- カキ「刀根早生」の生産量の急増に伴い、9月下旬〜10月上旬にかけて選果場は非常に混雑しトラブルを生じやすい。そこで、現場で簡単にCO2 処理の有無を識別できる検知紙を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 試薬吸着ろ紙は紫色を呈しており、CO2 濃度が3.6%以下では変色しないが、6.1%以上からは黒褐色に変色が始まり、32.8%以上では橙色に変化する(表1)。
- 試薬吸着ろ紙のCO2 処理後の変色完了時間は、乾燥程度が高い程、またポリ被覆で長く要する。なお、表面にポリ被覆が無い場合には、自然環境下で処理後11日目にわずかに色戻りが生じる(表2)。
- CO2 検知紙は、ろ紙にNaOH10%とチモールブルー0.1〜0.3%の混合液に吸着後乾燥させ、厚さ0.03mmのポリ袋で密封したものが、処理前と変色後の色の差が明瞭である(表3)。
- CO2 検知紙をカキ選果場で使用した結果、CO2 処理直後は果実外観からのCO2 処理の有無が判別できなかったが、検知紙をパレットの上に積み重ねたコンテナの間に挟んで置けば、その色変化からCO2 処理荷口が容易に識別でき、コンテナ移動時の確認にきわめて有用であった。
[成果の活用面・留意点]
- カキの脱渋処理施設でのCO2 処理行程完了の有無の確認に利用できる。
- 検知紙は自然環境下に長期間置いておくと一部変色がみられるので、ポリ容器等にまとめて入れ、密封して保管する。
[その他]
研究課題名 : CO2 検知紙の開発によるCTSD脱渋行程での利用
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成10年度
研究担当者 : 和中 学、北野欣信
発表論文等 : なし
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