- [要約]
- ナシ「新高」では、垣根整枝の一種のむかで整枝の適用により上向き姿勢が減って作業が快適になるとともに、省力化が図られる。
岡山県立農業試験場・北部支場・永年畑作部
[連絡先] 08686-57-2758
[部会名] 果樹
[専門] 栽培
[対象] 果樹類
[分類] 普 及
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[背景・ねらい]
- 慣行の盃状形平棚整枝では摘果、袋掛けなどの手作業が上向きで行われ、首、肩、腰の負担が大きい。また剪定では、側枝や結果枝の先端を上に向けながら水平に倒して棚付けするなどの高度な技術が必要であり、作業にも多くの時間を要している。そこで、整枝法をむかで整枝に改めて上向き作業を減らすとともに受粉花数を減らして結実を少なくすることによって作業の快適化、省力化を図る。
[成果の内容・特徴]
- 主枝の位置が低すぎると屈み込み姿勢での作業が必要になるので主枝の高さは120p、側枝を結束する側線は、高さ190pで主幹から通路方向へ120pの位置にあるのが適当である(図1)。
- むかで整枝は上向き姿勢、屈み込み姿勢での作業が少なくて快適である(表1)。
- 樹列間隔は、狭すぎると収量は増えるが品質が低下するので4m程度とする(表2)。
- 側枝間隔は50p、着果は側枝1m当たり2個とする(表3)。
- 受粉は側枝の高さ200p以下の部分に着果予定数の約5倍の花に行う(表省略)。高さ200cm以上の部分は作業性が劣るので花芽をかき取って結実させない。
- 収穫5000個当たり(成園の10a当り目標着果数)作業時間は、慣行の盃状形整枝に比較してむかで整枝が90時間程度少ない(表4)。
[成果の活用面・留意点]
- 「新高」以外の品種では未検討である。
- 主枝分岐部の折損を少なくするため、定植初年目には発生した新梢の分岐角度を大きくするように随時誘引しながら伸長させる。
- 主幹に近い部分の側枝は品質が劣る傾向があるので、この部分には返し枝による側枝を配置する。
- むかで整枝用の棚を鉄パイプで作れば、主枝と側枝の支持固定用鉄パイプと支柱だけで構成できるので設置が容易となり、経費は慣行の平棚の1/2以下と試算される。[その他]
[その他]
研究課題名 : 中高年・女性に適した果樹園の快適マネ−ジメントシステムの開発
予算区分 : 地域重要新技術開発
研究期間 : 平成10年度(平成6〜10年)
研究担当者 : 各務裕史、安井淑彦、磯田道雄、岡田俶郎
発表論文等 : せん定の強さがナシの主枝延長枝の伸長に及ぼす影響、園芸学会中四国支部大会要旨、36、7、1997.
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