ブドウ栽培の軽労化をはかる一文字改良棚


[要約]
ブドウ栽培の軽労化をねらった「一文字改良棚」は、新梢誘引や摘粒作業の効率を約20%高め、身体への作業負担を軽減させる。
広島県立農業技術センター・果樹研究所・落葉果樹研究室
[連絡先] 0846-45-1225
[部会名] 果樹
[専門]    栽培
[対象]    果樹類
[分類]    普及

[背景・ねらい]
 ブドウ栽培は、平棚栽培が一般的で主流である。しかし、新梢や果房管理のために、長時間にわたり仰向いたり、背をかがめたり、不自由な姿勢を取らざるを得ない。そのため、体に負担をかけ、かつ、作業能率も悪い状況下にある。そこで、現行の栽培管理作業に比較して、楽な姿勢で作業ができるような棚の改善を検討し、自然体での作業を可能にし、作業負担の軽減を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 一文字改良棚(以下、改良区。図1)は、平棚栽培(以下、従来区;実験に供した棚は、棚面より主枝を10cm下げているので、一般の平棚栽培より作業効率は良く、負担も軽減されている)に比べて、新梢誘引、花穂整形、GA処理、摘粒の作業効率が5〜20%高くなる(表1)。
  2. 作業中に腕を休めるために、腕を下げる回数は、改良区では、従来区に比べて、いずれの作業も50%以下となる(表1)。
  3. 身体への作業負担は、いずれの作業も従来区の方が大きく、とくにGA処理では、腰や背中まで疲労が蓄積するが、改良区では、腕、肩のみである(表2)。
  4. 作業強度を表す心拍数の増加率は、いずれの区、作業とも、113%以下(130%以下は軽作業に区分されている)で、作業強度の差はない(データ省略)。
  5. 主枝から第1線への誘引角度が、緩やかなため、元葉が日照不足になることもなく、また、副梢の発生を助長することもなく、果実品質への悪影響も見られない(表3)。
  6. 以上のことから、一文字改良棚によって、作業効率は高くなり、とくに、時間を要する新梢管理や摘粒作業でその効率は高く、作業負担が軽減される。

[成果の活用面・留意点]

  1. 一文字改良棚の主枝の高さは、作業者の身長より20cm低い位置とし、作業者の身長によって高低する。一文字改良棚を「一文字イマイ仕立て」と命名。

[その他]
研究課題名 : 大規模ブドウ園の改植技術の開発
予算区分    : 国補
研究期間    : 平成10年度(平成8〜12年)
研究担当者 : 加藤淳子、今井俊治
発表論文等 : なし
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