- [要約]
- ハウス栽培刀根早生の新脱渋法は、脱渋処理時の果実温度を35℃とし、炭酸ガス50%にエタノ−ル1〜2ml/果実1kgを併用すると、ハウスカキの軟化果実の発生を抑え、5日位で完全脱渋する。
奈良県農業試験場・果樹振興センター
[連絡先] 07472-4-0061
[部会名] 果樹
[専門] 栽培
[対象] 果樹類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
- ハウス栽培刀根早生の果実は、高温時に従来の炭酸ガス脱渋をすると軟化しやすいので、現在固形アルコ−ルを使った樹上脱渋で対応している。しかしこの方法は、多くの労力がかかるうえに高温時のハウス内での作業となるので、生産者に過重負担となっている。そこで、本脱渋法により、多量の果実が容易に処理でき、軟化の発生を抑え商品化率の向上を図る。
[成果の内容・特徴]
- 果実の処理温度について、従来の炭酸ガス脱渋の指標とされる25℃より35℃の方が、軟化を抑制している(表1)。処理時の果実温を処理終了まで厳守し、後保温は25℃にする。また、脱渋速度も35℃で、5日で完全に渋が抜ける。
- 果実の脱渋処理時間について、5時間及び10時間処理では、果実汚損が軽減しているが、5時間処理では、完全脱渋しなかった(表2)。10時間処理が適当である。
- 炭酸ガス濃度について、濃度が低くなると、脱渋速度が遅くなる傾向が見られる。また、濃度が高くなると軟化が増える傾向がある(表1、3)。よって、50%が適当である。
- エタノ−ル量について、0.5ml/kgでは脱渋せず、最低1ml/kg必要である(表2)。炭酸ガス濃度を50%にした後、99%エタノールを容器内へ注入する。
- これらのことから、果実温35℃・処理時間10時間・炭酸ガス濃度50%・エタノ−ル量1〜2ml/kgの条件で脱渋することにより、軟化の発生を抑制することができる。
[成果の活用面・留意点]
- 奈良県果実連ハウス柿部会で、平成9年度より当脱渋法を導入実施している。
[その他]
研究課題名 : ハウスカキ「刀根早生」における新脱渋法の開発
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成10年度(平成7〜11年)
研究担当者 : 今川順一、濱崎貞弘、澤村泰則(現吉野普及センタ−)、米田義弘
発表論文等 : なし
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