エテホンによる二期作栽培ブドウの結果母枝充実技術


[要約]
ブドウの二期作栽培において1作目終了後にエテホン200ppmを散布し落葉させると、次作型の結果母枝となる茎中の窒素及びデンプン含有率が高くなり、この茎から発芽した新梢の生育が良好となる。
島根県農業試験場・園芸部・果樹科
[連絡先] 0853-22-6650
[部会名] 果樹
[専門]    栽培
[対象]    果樹類
[分類]    研究

[背景・ねらい]
 ブドウ「巨峰」の二期作栽培において、2作目は1作目より新梢伸長が悪く、果粒肥大が劣る傾向がみられる。この一因として、2作目開始のせん定後緑葉を摘葉するので、樹からの養分の持ち出しがあり、結果母枝中の養分含有量が少ないことが考えられる。そこで、エテホン処理を行い、葉を強制的に黄化落葉させ、葉の養分を茎に移行させることにより、結果母枝の栄養状態向上を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 1作目収穫後にエテホン200ppmを散布することにより、葉が速やかに黄化し、落葉する(図1)。 
  2. エテホン処理により茎中窒素含有率は無処理の1.6倍、デンプン含有率は1.2倍となる(表1)。また、新梢内の窒素は無処理区において全体の3/4が葉に存在するが、エテホン区ではほぼ半分が茎に存在する(図2)。このことから、エテホン処理により窒素が葉から茎に移行したものと推察される。
  3. 次作型における新梢長はエテホン処理によりやや長くなるが、1新梢当たりの花穂数には差が認められない(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 長期展張ハウスにおける早期加温栽培にも活用できる。
  2. エテホンの本使用法は登録されていない。

[その他]
研究課題名 : 施設有効利用によるブドウの二期作栽培技術の確立
予算区分    : 地域重要新技術
研究期間    : 平成10年度(平成7〜11年)
研究担当者 : 山本孝司、藤本順子
発表論文等 : なし
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