- [要約]
- ブドウの二期作や長期展張ハウスにおける早期加温のように落葉に至っていない樹をせん定する場合、あらかじめエテホン200ppm液を散布しておくと、新梢の着穂性が向上し,せん定後に発芽する新梢の栄養条件にプラスに働く。
岡山県立農業試験場・果樹部
[連絡先] 08695-5-0271
[部会名] 果樹
[専門] 栽培
[対象] 果樹類
[分類] 研究
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[背景・ねらい]
- ブドウ栽培において,二期作や二度切りのように生育期にせん定する場合、あるいは長期展張ハウスにおいて早期加温する場合はせん定時に葉が完全に落葉していない。発芽を促進するためには仮せん定や手で摘葉するが、緑色の葉を切除することは樹体栄養にマイナスと考えられる。そこで、エテホン散布によって葉の老化を促進し、次作の生育に及ぼす効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
- ‘ピオーネ’の二期作栽培
- (1)夏季のせん定20日前にエテホン200ppm液を茎葉全体に散布すると、しだいに葉が黄化する(図1)。
- (2)葉の黄化に伴って葉中窒素濃度が低下し、茎および根の窒素濃度は逆に高まる傾向が認められることから、葉から茎および根への窒素栄養の移行が伺われる(図2)。
- (3)エテホン区ではせん定後発芽した二期作目の新梢の葉色が濃く、葉中窒素濃度も高い(表1)。さらに、新梢の花穂数が多く、花穂当たりの小花数も多い(表2)。
- 長期展張ハウス‘ピオーネ’の12月上旬加温栽培
- せん定1か月前の10月下旬にエテホン200ppm液を散布すると、二期作の結果同様、新梢の花穂数は散布しない区に比べて明らかに多くなる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- ブドウの二期作や二度切り、12月加温のせん定前に散布することによって、せん定によって切除される窒素栄養のロスを軽減できる。
- 散布濃度は200ppm、散布時期は二期作のような夏季ではせん定2週間前、早期加温のような秋冬季では10月下旬〜11月上旬を目安とする。
- エテホンの本使用法は登録されていない。
[その他]
研究課題名 : 施設有効利用によるブドウの二期作栽培技術の確立
予算区分 : 地域重要新技術
研究期間 : 平成10年度(平成7〜11年)
研究担当者 : 小野俊朗、高野和夫、依田征四
発表論文等 : なし
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