太陽熱利用によるしゅんぎくのマメハモグリバエ蛹の防除


[要約]
しゅんぎくで難防除となっているマメハモグリバエに対し、収穫終了後に農業用透明ポリフィルムで地表面被覆すると、4月〜10月の間は晴天時1日の処理で地中の蛹を絶滅でき、きわめて高い防除効果が得られる。
大阪府立農林技術センター・環境部・病虫室
[連絡先] 0729-58-6551
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専門]    作物虫害
[対象]    葉茎菜類
[分類]    普及

[背景・ねらい]
 しゅんぎくは大阪府の特産野菜のひとつであるが、近年マメハモグリバエが侵入し、本種に対する効果的な防除薬剤がないため、難防除害虫となっている。そこで、しゅんぎくの収穫終了直後に農業用ポリフィルムで地表面を被覆し、地中のマメハモグリバエ蛹を殺すことによる防除効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ハウス内で地表面を農業用ポリフィルムで被覆すると、5月下旬の晴天日には被覆直下で約6時間、地下1cmで約4時間、地温が50℃以上になる(表1)。
  2. ハウス内でしゅんぎく収穫直後に地表面を農業用ポリフィルムで被覆すると、5月下旬処理ではマメハモグリバエの蛹が全て死滅する(表2)。
  3. マメハモグリバエの蛹を一定温度に置くと、44℃では24時間、46℃では3時間、48℃では30分で全て死滅する(表3)。
  4. ハウス内で地表面を農業用ポリフィルムで被覆すると、4月上旬〜10月中旬の間、晴天時には地下1cmの最高温度が48℃以上になる。マメハモグリバエは地表面から地下3mmの間で蛹化するため、この期間内は晴天時にこの処理を1日行うと高い防除効果が得られる(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本方法はしゅんぎくだけでなく、マメハモグリバエが加害するチンゲンサイ、大阪しろななどの各種葉菜類でも活用でき、また露地栽培でも利用できる。
  2. 本方法は「晴れの日1日ビニール1枚敷」とネーミングし、すでに各地で普及している。
  3. マメハモグリバエ成虫の再侵入防止のために目合0.8mmのネットをハウス開口部に展張すると防除効果が高まる。

[その他]
研究課題名 : 軟弱野菜類のマメハモグリバエの総合制御技術
予算区分    : 国補
研究期間    : 平成10年度(平成6〜7年度)
研究担当者 : 田中 寛、柴尾 学、草刈眞一
表論文等    : 太陽熱利用によるマメハモグリバエの蛹の防除、関西病虫研報38号
                   「晴れの日1日ビニール1枚敷」によるマメハモグリバエの防除、大阪農技セニュース327号
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