夏秋キャベツにおけるコナガの要防除密度


[要約]
夏秋キャベツ栽培におけるコナガの要防除密度を、キャベツの結球前は1株当たり1.3頭、結球後は0.4頭と設定できる。
鳥取県園芸試験場・環境研究室
[連絡先] 0858-37-4211
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専門]    作物虫害
[対象]    昆虫類
[分類]    指導

[背景・ねらい]
  キャベツの重要害虫であるコナガは、各種殺虫剤に対して抵抗性が発達しているため、防除回数が多くなる傾向にある。しかし、夏秋キャベツでは夏季にコナガの密度が低下するため、他の作型に比べ防除の必要性は低く、防除回数の削減が可能であると考えられる。そこで、夏秋キャベツにおいて薬剤散布回数を必要最小限に抑えた防除を行うため、コナガの要防除密度を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. コナガの寄生虫数と収穫物でのコナガによる食痕数との関係から、許容食痕数を秀品となる限界の1とした場合、結球後の許容密度は1株当たり0.4〜1.3頭である(図1)。
  2. コナガの寄生虫数と収量との関係から、8〜12日間隔の定期防除に比べて10%の減収を許容範囲とした場合の許容密度は、結球直前は1株当たり1.3頭であり、結球直後は0.5頭である(図2)。
  3. 以上の結果から、夏秋キャベツにおけるコナガの要防除密度を、キャベツの結球期までは1株当たり1.3頭、結球後は0.4頭とする。

[成果の活用面・留意点]

  1. 防除要否を判断するため、コナガの密度の調査を7〜10日間隔で次の方法で行う。対象となるキャベツほ場全体を20区画に等しく分け、各区画から1株ずつ選んで、寄生するコナガの幼虫および蛹の合計虫数を調査する。調査した20株の平均値を算出して、この値を要防除密度と比較し、これを超えた時点でコナガに有効な薬剤を散布する。
  2. 他の害虫もコナガとほぼ同時防除できるが、ヨトウムシ類が多い場合やアブラムシ類が発生した場合は、これらに有効な薬剤の追加散布が必要である。

[その他]
研究課題名 : 環境保全型防除要否判断基準確立事業
予算区分   : 国補
研究期間   : 平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者 : 田中 篤、谷口達雄* *現大阪事務所農産流通課
発表論文等 : なし
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