- [要約]
- 軟弱野菜類を加害するハモグリバエ類の種類は4種で、ハモグリバエ類の寄生蜂6種を確認した。その季節的変化は春期にはナモグリバエ、夏〜秋期にはマメハモグリバエの寄生が多い。
兵庫県病害虫防除所・兵庫中央農業技術センター 農試 環境部
[連絡先] 0790-47-1222
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専門] 作物虫害
[対象] 葉茎菜類
[分類] 研究
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[背景・ねらい]
- 兵庫県では1993年にマメハモグリバエの発生が確認されて以来、ハモグリバエ類は県南東部のアブラナ科軟弱野菜類やトマト、ナス等に大きな被害を与える重要害虫となっている。防除技術を確立するために、1997年に兵庫県南東部(神戸市、明石市、加古郡稲美町)の軟弱野菜類のハモグリバエ類の幼虫および蛹を採集・飼育して、種類を同定するとともに、ハモグリバエ類の寄生蜂も調査した。
[成果の内容・特徴]
- 1997年の兵庫県南東部(神戸市、明石市、加古郡稲美町)における軟弱野菜類(コマツナ、チンゲンサイ等)に寄生するハモグリバエ類はマメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、ナスハモグリバエ(L.bryoniae)、ヨメナスジハモグリバエ(L.asterivora)、ナモグリバエ(Chromatomyia horticola)の4種である(表1)。
- 春期(4〜5月)の露地栽培ではナモグリバエ、夏〜秋期(6〜10月)には露地、施設栽培にかかわらずマメハモグリバエの寄生が多い(表1)。
- ハモグリバエ類の寄生蜂としてマメハモグリバエから Dacnusa nipponica, Opius sp., Hemiptarsenus varicornis, Pediobius sp., Diglyphus isaea, Trichomalopsis oryzae (表2)、ナスハモグリバエから Opius sp.(表3)、 ナモグリバエから Dacnusa nipponica, Opius sp.(表4)の合計6種の寄生が認められる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 春期(4〜5月)に発生が多いナモグリバエは薬剤感受性低下の事例もなく、この時期の寄生蜂の寄生率が高いので、天敵類を保護するためにも過剰な防除は避け、薬剤散布は少数回にとどめる。
[その他]
研究課題名 : ハモグリバエ類の発生と防除対策
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成10年度(平成8〜12年)
研究担当者 : 二井 清友、廣瀬 敏晴、山下 賢一、田中 尚智
発表論文等 : 軟弱野菜類に寄生するハモグリバエ類の種類とその季節的変化、兵庫県立中央農業技術センター研究報告第47号、38-43、1999.
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