- [要約]
- 水田に乾燥牛ふんを施用する場合、秋施用とし、耕深を浅くする。耕うん後はほ場排水に努めることによりメタン発生量を減少させることができる。
京都府農業総合研究所・環境部
[連絡先] 0771-22-6494
[部会名] 生産環境(土壌肥料)
[専門] 環境保全
[対象] 稲類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
- 近年、畜産有機物の処理が問題となっており、農耕地に投入される場合が多い。このことが水田からのメタンの発生を助長していることが最近の研究で明らかになってきている。そこで、京都府の代表的な灰色低地土の水田で、畜産有機物のうち特に乾燥牛ふんについて、施用時期及び施用法等を検討し、メタンの発生抑制対策を確立する。
[成果の内容・特徴]
- バークたい肥と乾燥牛ふんの秋施用(10月)においては春施用(4月)よりメタン発生量が少なくなり、両者を比較すると乾燥牛ふん施用の方がメタン発生量は多い。しかし、中干しにより土壌の酸化還元電位を上昇させるとメタン発生量は減少する(図1)。
- 乾燥牛ふんを秋施用(10月)しても冬期に湛水すると、メタン発生を助長する(表1)ので、耕うん後はほ場排水に努める。
- 乾燥牛ふんを秋施用する際には、秋鋤時の耕深を浅くすることで酸化的に有機物の分解を促進させ、メタン発生量を少なくすることができる(表2)。また、田植え前に本鋤することで収量にも差がない。
[成果の活用面・留意点]
- この技術は灰色低地土に適用でき、また冬期に湛水する地域にも適用が可能である。
- この試験は細粒灰色低地土の水田で乾燥牛ふんを中心に検討したので、他の土壌型やたい肥については別途検討が必要である。
[その他]
研究課題名 : 家畜排せつ物施用水田の環境保全機能向上技術の確立
予算区分 : 環境保全型土壌管理推進事業
研究期間 : 平成10年度(平成7〜11年)
研究担当者 : 松本次郎、高橋克征、赤堀 伸、南山泰宏
発表論文等 : 平成10年度近畿中国農業問題別研究会(土壌肥料春期検討会)にて発表
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