家庭用電子レンジを用いた玄米品質予備判定のための生籾迅速乾燥法


[要約]
収穫直後の生籾(水分18〜22%)約80gを家庭用電子レンジで1分程度加熱処理することで籾水分が3〜4%低くなる。この処理により、生籾をそのまま籾ずりした場合に比べ玄米の状態が改善され、玄米品質の迅速な予備判定が可能となる。
鳥取県農業試験場・環境研究室
[連絡先] 0857-53-0721
[部会名] 作物生産 (育種・栽培)
[専門]    栽培
[対象]    稲類
[分類]    指導

[背景・ねらい]
 現在、玄米の品質低下要因のひとつに、ライスセンターなどにおける荷受けの際に品質の悪い籾が搬入・混合され、全体の品質を下げていることが指摘されている。これを防ぐには、籾が混合されるまでに玄米品質を予備判定し、品質別に分けることが有効な手段のひとつと考えられる。
 しかし、高水分籾を籾ずりすると肌ずれが起こり、検査試料には適さない。そこで家庭用電子レンジを利用して籾の迅速乾燥を行うことで、玄米品質の予備判定の効率化を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 加熱時間が長い(図1の条件で2分以上)と、胴割れ粒増加による白濁(品質判定器では白未熟と判定)のため検査試料には適さなくなることから、加熱時間は1分程度が適当と判断される。
  2. 一回当たりの籾の処理量が少ないと火花が発生し、乾燥効率が低下する。このため電子レンジの安全使用も勘案し、火花の発生がみられない最小量(約80g)が適当量である(図2)。
  3. 定格高周波出力 高、処理時間1分、籾量80g/回、生籾水分18〜22%の条件では、籾水分は約3〜4%低下する(図3)。
  4. 仕分け集荷のための玄米品質の予備判定は、収穫前7日以降を目安に籾を採取し、本方法で乾燥することにより迅速に行うことができる。(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 電子レンジの定格高周波出力の高さにより、加熱時間等を調整する必要がある。

[その他]
研究課題名 : 市場競争に強い高品質米の栽培・品質管理技術
予算区分    : 国補
研究期間    : 平成10年度(平成8〜9年)
研究担当者 : 坂東 悟、高橋一郎
発表論文等 : なし
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