畦畔植生管理に利用可能な地被植物の選定


[要約]
畦畔植生の省力管理に利用可能な地被植物として、草高が低く、地被能力に優れる、シバザクラ類、ローマンカモミール、アークトテカなど24草種を選定した。
広島県立農業技術センター・高冷地研究部
[連絡先] 0826-82-2047
[部会名] 作物生産(育種・栽培)
[専門]    雑草
[対象]    緑化植物
[分類]    研究

[背景・ねらい]
 中山間の急傾斜地域では水田の基盤整備に伴い法面部分が非常に大きくなり、刈払い等の従来の方法では植生管理が困難となっている。そこで、地被植物で畦畔を覆うことによって雑草の発生を抑制する省力的な管理法を確立するため、草高が低く地被能力の高い草種を選定する。

[成果の内容・特徴]

  1. 大型法面の中間部分での利用を考慮し、草高は50pを上限として選定した。
  2. 夏から秋にかけて被度が高く、越冬後の被度が50%以上の草種は、シバザクラ類、ローマンカモミール、ビンカ・ミノール、コウリンタンポポ、ヘビイチゴ、ツルマンネングサ、メキシコマンネングサ、ケンタッキーブルーグラスの17種である(表1)。
  3. 夏から秋にかけての被度が高いものの、冬季に地上部が傷みやすく、越冬後の被度が50%未満の草種はアークトテカ、マツバギク、バーベナ(タピアン)、イモカタバミ、ポテンティラ、リーシマキア、ギンパイソウの7種である(表1)。
  4. 着花密度や開花期間などの特性から、景観形成面で優れる草種はシバザクラ類、マツバギク、バーベナ(タピアン)、イモカタバミ、ギンパイソウの14種である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 畦畔における検討が必要である。
  2. 有用作物病害虫の寄主となったりエスケープして害草化する可能性について確認する必要がある。

[その他]
研究課題名 : 大規模稲作経営推進のための超省力栽培技術体系の確立
予算区分    : 地域基幹農業
研究期間    : 平成10年度(平成6〜10年)
研究担当者 : 保科 亨、前田光裕
発表論文等 : 地被植物の植栽による畦畔植生省力管理法 第1報 利用可能な草種の選定、雑草研究、43巻別号、170-171、1998.
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