スイ−トピーにおけるRAPD法による品種分類


[要約]
スイ−トピーの15品種系統を材料とし、RAPD法を行い、クラスターを作成した。その結果、形態的特徴と一致し、RAPD法がスイートピーの遺伝的な近縁関係を明らかにするのに有効であった。
和歌山県農林水産総合技術センター・暖地園芸センター・育種部  
 [連絡先] 0738-23-4005  
 [部会名] 生物工学
 [専門]    バイテク
 [対象]    花き類
 [分類]    研究

[背景・ねらい]
 スイ−トピーの栽培品種は、開花時期、花色、性状が豊富な自殖一年性植物であり、遺伝的に固定している。DNAマーカーを作出する場合、両親間で多型を示すバンドが必要である。そこで、品種間多型バンドの検出と品種間の遺伝的な近縁関係を調査することにより、品種分類の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 供試材料は3年以上自殖を繰り返し、特性調査を行った。
  2. RAPD法では12塩基のDNAオリゴマーセット(和光純薬)のセットA,Eを使用し、PCR反応は図1の通り行った。PCR産物は、1.5%アガロースゲル電気泳動で分離し、品種間の多型バンドを検出した。バンドの有無に基づき、品種の類似比を指標に平均距離法(UPGMA法)より遺伝的距離を計測した。
  3. バンドが検出されたプライマー数は96種類であった。検出された多型バンド796本(83%)中Lathyrus odoratus L.の品種間で検出された多型バンド数は190本(20%)であり、品種間内で遺伝的差異が小さいことが示唆される(表1図2)。
  4. 切り花用品種(アーリーホワイト〜パール10品種)間では、「パール」を除き、白色品種は同一のクラスターに属する。また、開花時期が12月上旬から1月上旬の品種群と1月下旬以降の品種群ではクラスターが異なり、開花時期の差異は遺伝的なものであることが明確である(図2)。
  5. 矮性で巻きひげの無い「スヌーピー」4系統は、同一のクラスターに属する(図2)。
  6. 「スイートメモリーパープル」は、「スヌーピー」と比較し、草姿は切り花用品種とよく似ているが、開花時期は5月下旬以降と遅く、切り花用品種群と遺伝的近縁関係がより遠い(図2)。
  7. 宿根スイ-トピー(Lathyrus latiforius L.)は、栽培品種(Lathyrus odoratus L.)と同属ではあるが、遺伝的に遠く、栽培品種との交配が難しいことと一致する(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 2個体群の分離調査により、開花時期、性状などに関するDNAマーカーとしての利用の可能性がある。

[その他]
研究課題名 : バイオテクノロジー導入優良品種育種
予算区分    : 県単
研究期間    : 平成10年度(平成8年〜)
研究担当者 : 花田裕美
発表論文等 : スイトピーにおけるRAPD法による品種分類の可能性の検討、園芸学会誌、66巻 別冊1号、402-403、1997.   
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