メロンACC合成酵素プロモーター領域の単離


[要約]
メロン成熟果実由来のACC合成酵素遺伝子の塩基配列を基に、その5'上流域を単離した。単離したフラグメントをGUS遺伝子上流に配したベクターを構築し、トランジェントアッセイによりプロモーター活性を有することを認めた。
島根県農業試験場・作物部・生物工学科
[連絡先] 0853-22-6650
[部会名] 生物工学
[専門]    バイテク
[対象]    野菜
[分類]    研究

[背景・ねらい]
 成熟した果実で特異的に遺伝子の発現を制御するプロモーターを獲得するために、メロン成熟果実由来の1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)合成酵素遺伝子の5'上流域を単離し、そのプロモーター活性を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. メロン‘おくに’の全DNAをCTAB法で抽出し、制限酵素で消化後、それぞれセルフライゲーションを行った。DDBJデータベースのメロン成熟果実由来ACC合成酵素遺伝子の塩基配列を基にプライマーを設計し、セルフライゲーションしたメロンDNAをテンプレートにインバースPCRを行った。EcoRIで消化したテンプレートにより約1.6kbpのPCR産物が得られた。このフラグメントをシーケンスベクターにクローニングし、塩基配列を決定した(図1)。
  2. 導入ベクターpBI221をもとに、CaMV35Sプロモーターを除いたベクターと、CaMV35Sプロモーター部位にACC合成酵素遺伝子のプロモーター領域を組み込んだベクターを作成し、パーティクルガン(株式会社タナカ ガス圧5kg/cm2、距離55mm)でメロン、キュウリの果実へ導入した。15時間15℃でインキュベート後β-グルクロニダーゼ(GUS)活性を調べたところ、CaMV35Sプロモーターを除いたベクターではGUS活性をまったく認めなかったが、ACC合成酵素プロモーターではCaMV35Sプロモーターと同程度の発現を確認した(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 単離した5'上流域をプロモーターとして遺伝子組換えに利用した場合、特異的な発現制御が期待できる。

[その他]
研究課題名 : 有用遺伝子導入法による新規地域農作物作出技術の開発
予算区分    : 地域先端
研究期間    : 平成10年度(平成9〜11年)
研究担当者 : 杉山万里、近重克幸
研究論文等 : なし
目次へ戻る