アンモニア態窒素優占茶園における土壌ECによる無機態窒素の推定
- [要約]
- 硝酸態窒素に比べてアンモニア態窒素が優占して推移する土壌でも、硫酸イオンが多量に存在することにより、施肥時期に土壌pHが上昇しない場合には、土壌ECにより土壌中無機態窒素を推定できる。
京都府立茶業研究所・栽培課
[連絡先] 0774-22-5577
[部会名] 茶業
[専 門] 土壌
[対 象] 工芸作物類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- 近年、土壌診断に基づく施肥の必要性が高まっているが、茶園では土壌が還元的な場合、秋季や春季を中心に硝酸態窒素に比べてアンモニア態窒素が優占して推移することがあり、土壌ECが低くてもアンモニア態窒素の多い事例がしばしば認められる。そこで、ECセンサー導入時の基礎資料として、土壌ECにより無機態窒素が推定可能な土壌条件を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- イオン間の相互作用やイオンペアの生成を考慮した有効濃度である各イオンの活動度を逐次近似法により求めたところ、茶園土壌の土水比1:5浸出液ECへの関与は、陰イオンでは硝酸、硫酸イオンが大きく、陽イオンではアンモニウムイオン、次いでカリウムイオンが大きい。
- 浸出液ECと無機態窒素は、直線的な関係を示す場合(Aアンモニア態と硝酸態窒素共存、Bアンモニア態窒素優占土壌、C硝酸態窒素優占土壌)と関係を示さない場合(Dアンモニア態窒素優占土壌)の両方がある(図1)。
- ECと無機態窒素が関係する土壌(A・B)では、アンモニウムイオンと同時に浸出液中の硫酸イオンの活動度も増加する(図2)。この硫酸イオンがECの約3割と大きな割合を占めることが、アンモニア態窒素が多くてもECと無機態窒素が関係する要因と考えられる。また、硫酸イオンは、硫酸イオンや窒素に次いでECへの関与が大きいカリウムや塩素イオンの活動度とも比例する。
- ECと無機態窒素の関係が明確でない土壌(D)では、アンモニウムと硫酸イオンの関係が一定でなく、アンモニウムイオンと同時に浸出液中の重炭酸イオンの活動度が増加し(図2)、pHも急激に高まる特徴がある。これは、非施肥時期であっても炭酸カルシウムの活動度積に比べて土壌pHが高いことから、施肥に由来する硫酸イオンの土壌中蓄積量が少ないことが原因と考えられる(図3)。
- 以上の結果、アンモニア態窒素優占土壌でも、非施肥時期に土壌pHが約5以下であり、かつ施肥時期に土壌pHが約7以上に上昇しない場合には、土壌ECにより土壌中無機態窒素を推定できる(図4)。
[成果の活用面・留意点]
- 回帰式の傾きは土壌のイオン吸着特性の違いにより異なることが考えられるため、土壌タイプが異なれば、新たに式を作成することが望ましい。
- 推定可能土壌の判定には、イオンクロマト等の利用が考えられる。
[その他]
研究課題名:茶園土壌成分の簡易・迅速診断
予算区分 :国庫(高度技術活動事業)
研究期間 :平成11年度(平成10〜12年)
研究担当者:藤原敏郎、工藤康將
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