遮光資材を利用したアジュガの省力管理技術


[要約]
水田畦畔の法面管理にグランドカバープランツであるアジュガを用いる場合、遮光資材(SL-80、遮光率86%)でマルチした後に植え穴をあけて植え付けると、2年目でほぼ全面を覆い、アジュガの定着のための初期管理労力が軽減できる。
京都府農業総合研究所・作物部
[連絡先] 0771-22-5010
[部会名] 作物生産(育種・栽培)
[専 門] 雑草
[対 象] 雑草類
[分 類] 普及

[背景・ねらい]
 水田畦畔の省力的管理技術と景観形成を目的として、アジュガ等のグランドカバープランツの植栽が行われている。しかし、これらの植物が畦畔を覆うまでの数年間は、手取りによる除草が必要であり、管理に要する労力は、草刈り等の管理に比べて多くなっている。
 そこで、アジュガの初期管理労力の軽減と早期の被度確保のため、遮光資材とアジュガを組み合わせて植栽する方法について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 遮光資材(SL-80、不織布)を畦畔にマルチした後、植え穴をあけ、アジュガを植栽するとアジュガ単独の場合に比べ被度の増加が早く、2年目でほぼ全面を覆う(表1図1)。
  2. 不織布を資材として利用する場合は、初年目に資材下の雑草による資材の持ち上げが大きいため、アジュガの生育は抑制されるが、SL-80では資材の持ち上げが小さく、初年目から生育は良好である。いずれの資材でも資材下の雑草は、生育を抑制され、資材上に突き抜けないが、2年目にはアジュガのランナーから伸びた根が資材を貫通し、土壌に到達する(表2)。
  3. 遮光資材(SL-80)の敷設及びアジュガの植栽に要する時間は、資材を利用する方が多くなるが、植栽後の除草時間はアジュガ単独において鎌で手刈りする程度の粗放管理する場合と比較しても資材利用の方が短くなり、アジュガの被度が高くなった2年目で1/6に短縮される(図2)。
  4. アジュガの初期管理労力の軽減と早期の被度確保のための遮光資材としては、SL-80(遮光率:試験開始時86%、終了時88%)が有望である。

[成果の活用面・留意点]

  1. グランドカバープランツの初期管理労力の軽減技術として活用できる。
  2. 遮光資材を設置する前に草刈りし、アジュガは11株/u(30×30cm)で植栽する。
  3. 初年目は雑草が伸長し、資材が持ち上がるため、アジュガが資材下に埋没しないように資材をU字の針金やマイカ線等で地面に固定する必要がある。
  4. 遮光資材費は、SL-80で1u当たり約100円である。
  5. 利用するグランドカバープランツはアジュガ等の耐陰性のある草種を使う。

[その他]
研究課題名:中山間地における畦畔管理技術の開発
      (2)被覆植物の早期畦畔被覆技術の検討
予算区分 :府単
研究期間 :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:大橋善之、岡井仁志

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