レタスの太陽熱消毒マルチ時の全量基肥施用による連続2作穫り
- [要約]
- 夏期、紫マルチによる太陽熱消毒を行う際、基肥として緩効性肥料を窒素成分として10a当たり20〜30kg施用し、約1ヶ月被覆後に処理層を壊さずレタスを定植することにより2作連続して作付けができ、レタスの安定生産と効率的施肥が可能となる。
兵庫県立淡路農業技術センター・農業部
[連絡先] 0799-42-4881
[部会名] 野菜・花き(野菜)
[専 門] 栽培
[対 象] 葉茎菜類
[分 類] 普及
-
[背景・ねらい]
- 淡路地域では、水稲−秋野菜−冬春野菜の多毛作が行われ、主力品目であるレタスの栽培面積は1,000haにも及ぶ。このレタスにレタスビッグベイン病等の土壌病害が発生しており、対策として太陽熱を利用した土壌消毒の有効性を確認している(生産環境部会.平成11年度)。この技術の実用化を目的に、紫マルチ被覆による太陽熱土壌消毒後に処理層を壊さないでレタスを2作連続して作付けするための肥料の全量基肥施用法について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 作業体系は、水張りまたは緑肥作物のすき込み後、堆肥散布に続いてレタス2作分の施肥を緩効性肥料の全量基肥として施用し整畦後、雑草抑制と地温上昇効果のある紫マルチを用いて太陽熱処理を約1ケ月行い、その後そのままマルチを利用して連続2回定植を行う。
- 肥料の種類では、SL(N-P-Kの成分が14-12-14で220日タイプの被覆肥料)で生育、収量、品質とも良好となる。SIB(成分が15-16-12で60%が緩効性の120日タイプ粒状肥料)および慣行肥料(油粕主体のペレット状有機肥料7割と化成肥料3割)は、多施肥(窒素成分45kg/10a)では1作目定植後の肥料濃度が高く、生育不良や過繁茂になり品質低下をまねく傾向がみられる(図1)。
- 肥料の違いによる栽培中の土壌ECについてみると、SLは初期のECが低く抑えられ1作目の生育が安定する効果がみられる。SIBおよび慣行肥料は、高温での溶出が早まり初期のECが高く、過繁茂をまねく傾向がみられる。無マルチ追肥区は、ECが低く流亡が著しい(図3)。
- 施肥量は、緩効性肥料SLの20〜30kg/10aのマルチ時全量基肥施用で、1、2作目とも球の肥大が安定し、慣行の無マルチ追肥体系に比べて効率的施肥が図れる(図1)。
- 圃場条件としては、連年毎作堆肥を2〜3t/10a施用している腐植に富んだ圃場で適応性が高く、生育、収量、品質とも良好となる。堆肥を施用していない圃場では1、2作とも生育は劣ることから、地力を高めることで、施肥量を抑え安定した生産が可能となる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 1作目定植後の濃度障害を回避するため施肥量を控えめにし、2作目の生育を地力で補うため、堆肥の施用等を図る。
- 太陽熱消毒マルチ被覆時期は、風により被覆が剥がれないようにネット等で押さえる。
[その他]
研究課題名:レタスを基幹とした野菜の長期輪作体系の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:小林尚司、桐村義孝、岩田 均
発表論文等:
目次へ戻る