電球色電球形蛍光灯によるイチゴ‘レッドパール’の電照効果と低コスト化


[要約]
電球色電球形蛍光灯による日長延長方式の電照により、イチゴ‘レッドパール’の葉、葉柄は小さくなるが、収量は白熱灯より1割増収する。また、このランプは長寿命・低電力消費であるのでコスト低減する。
広島県立農業技術センター・園芸研究部
[連絡先] 0824-29-0521
[部会名] 野菜・花き(野菜)
[専 門] 栽培
[対 象] 果菜類
[分 類] 普及

[背景・ねらい]
 イチゴの電照には、白熱灯が利用されている。しかし、白熱灯は寿命が短く、電力の光への変換効率が悪いため電気料金が割高である。そこで、長寿命・低電力消費の電球色電球形蛍光灯による電照の実用性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 電照にはTL社が開発した15W電球色電球形蛍光灯(既存の白熱灯ソケットに設置可能)を用いる。このランプのR/FR比は6.5と白熱灯の0.7に比べて大きい。耐用時間は6000時間で白熱灯の1000時間に比べ6倍である。また、電照方法は日長延長方式(日没1時間前〜22時まで)とする。
  2. PFD1μmol/usでの蛍光灯の電照により12月上旬以降の葉柄長は短く、葉の大きさも小さくなるが、葉や花房は次々に出現する(表1)。
  3. 電照期間中の3月までの総収量、可販果(7g以上)収量は差がないが、5月までの全栽培期間の総収量、可販果収量は蛍光灯の電照により1割増加した。これは、蛍光灯の光質により電照期間中の草姿がコンパクトになり、受光態勢が向上したことが電照終了後の増収につながったと思われる(表2)。
  4. 10a当りの経費は、白熱灯(60W)では1000時間ごとに電球250円×100個+電力6000kWh×28円/kWh=193000円かかる。これに比べて蛍光灯(15W)は最初の1000時間が蛍光灯1500円×100個+電力1500kWh×28円/kWh=192000円と白熱灯と同じに、それ以降は6000時間までは電気料金のみ(1000時間ごとに電力1500kWh×28円/kWh=42000円)となり、2作目以降(1作当りの電照時間を750時間とする)は蛍光灯が安くなる(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 葉柄長が短く、葉の大きさも小さくなるのは「すくみ症状」でない。
  2. 電球形蛍光灯は点灯後の約15分間の照度が低いので間欠電照には適さない。
  3. レッドパールでの設置にあたっては葉面での水平照度が約40 lx(PFDで約0.5μmol/us )以上になるよう配置する。

[その他]
研究課題名:次世代施設の開発とイチゴ,メロン等の高収益生産システムの確立
予算区分 :国補(民間支援)
研究期間 :平成11年度(平成8〜10年度)
研究担当者:長谷川繁樹、山本哲靖、岡田牧恵
発表論文等:なし

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