ブロッコリーの葉柄付き貯蔵による鮮度保持


[要約]
ブロッコリーの産地での一時貯蔵による1〜2週間の出荷調整をするとき、花蕾茎の切断面の変色による品質低下が問題となる。葉柄を残し、花蕾茎を1cmほど長く残して3℃で貯蔵することによって3週間は出荷可能な品質を保持できる。
山口県農業試験場・栽培技術部・園芸栽培グループ
[連絡先] 083-927-0211
[部会名] 野菜・花き(野菜)
[専 門] 栽培
[対 象] 花菜類
[分 類] 普及

[背景・ねらい]
 ブロッコリーは天候による出荷量の増減が大きく、計画出荷が困難な状況にある。販売価格の安定と生産の拡大を図るとともに予約相対取引にも対応できるよう産地における出荷調整技術の確立が求められている。貯蔵性の高い品種を栽培し、調製方法を改善することにより、1〜2週間程度の出荷調整を可能にする。

[成果の内容・特徴]

  1. 慣行の調製方法では貯蔵5日目以内に切断面の変色による品質低下が起きる。しかし、葉柄を残し、花蕾茎を1cmほど長く残して貯蔵し、出荷直前にそれらを切り落とすことによって、切断面の変色を回避することができる(表1)。また、葉柄を残すことによって、花蕾どうしの接触によるキズを減らすことができる。
  2. 花蕾表面色は慣行の調製方法では42日目から顕著な黄化が始まるが、葉柄付きでは49日目まで収穫時と変わらない(表2)。
  3. 貯蔵中のクロロフィル含量はいずれの調製方法でも1か月程度はほとんど減少しない。アスコルビン酸含量は調製方法による差はない。葉柄付きで貯蔵することにより糖含量の減少が抑制される(図1)。
  4. 鮮度保持程度を総合的に評価した結果、葉柄付きで調製し、厚さ0.03mmのポリエチレンフィルムでハンカチ包装し、3℃で貯蔵することによって3週間は出荷可能な品質を保持できる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 産地での一時貯蔵による出荷調整を行うことにより、市場への安定出荷が可能になる。
  2. 葉柄付きで貯蔵する場合、出荷直前に切り直し作業が必要である。

[その他]
研究課題名:ブロッコリーの鮮度保持のための栽培技術
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:重藤祐司、片川 聖、山内直樹(山口大学農学部)
発表論文等:なし

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