花壇用苗物の小型容器栽培におけるエブアンドフロー給水技術


[要約]
エブアンドフロー給水を用いた花壇用苗物栽培において、水位1.0〜2.5pでは、ベゴニア、ビンカは6pポット、パンジーでは6p深型ポットを用いれば、生育・開花への影響は少なく安定生産が可能である。
京都府農業総合研究所・花き部 
[連絡先] 0774-62-0048
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専 門] 栽培
[対 象] 花き類
[分 類] 普及

[背景・ねらい]
 花壇苗の低価格化の対応策として、従来の9pポットより小さい小型容器を用い、単位面積当たりの生産量を増やすことが考えられる。小型容器栽培では、給水方法が課題で、省力的で均一に自動給水できるエブアンドフロー給水(以下、E&F)が有利と考え、ベゴニア・センパフローレンス(以下、ベゴニア)、ビンカ、パンジーを用いて、水位とポットサイズが生育に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ベゴニアの6pポット苗では、地上部乾物重は水位が低いほど重くなるが、草丈、株径には明らかな傾向は認められず、水位1.5〜2.5pで栽培が可能である(表1)。また、E&F給水は頭上給水より地上部乾物重が重く、生育が旺盛である。
  2. ビンカの6pポット苗では、水位による生育の明らかな差は認められず、また、頭上給水より生育が旺盛で、E&F給水の実用性が高い(表2)。
  3. パンジーの6p深型ポット苗では、地上部および地下部ともに水位による生育への影響は明らかでなく、また、頭上給水より生育が旺盛であり、E&F給水による安定生産が可能である(表3)。なお、6pポット苗では、水位が高いと地上部および地下部の生育が悪い。

[成果の活用面・留意点]

  1. E&F給水は、30分間かけて徐々に給水し一定の水位を保った後、15分程度で排水を行う。マサ土2,ピートモス5、くん炭2,パーライト1(容量比)を混合した用土を用いた。
  2. ビンカの水位2pでは徒長ぎみになるため、給水間隔を長くし、草丈の伸長を抑制する。

[その他]
研究課題名:小型容器による花壇用苗物の需要拡大のための高位生産技術と軽作業化技術の確立
予算区分 :地域重要新技術
研究期間 :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:末留 昇
発表論文等:なし

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