バラのロックウール栽培における培養液濃度
- [要約]
- ‘ローテローゼ’を使用したバラのかけ流し式給液によるロックウール栽培では、高温期に慣行培養液より窒素成分を3/4、ECを1/2にうすめた濃度で栽培しても慣行と同等以上の収量、品質を確保できる。
和歌山県農林水産総合技術センター・暖地園芸センター・園芸部
[連絡先] 0738-23-4005
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専 門] 栽培
[対 象] 花き類
[分 類] 普及
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[背景・ねらい]
- バラのロックウール栽培における給液法は、かけ流し式が主流であるが、近年その排液による環境負荷が懸念されている。そこで、施設外への肥料成分の排出量を抑えるため、慣行培養液より窒素成分を3/4、ECを1/2にうすめた培養液を用いて栽培の可否を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 前期(11〜4月)の収量は、培養液の濃度が高いほど多いが、5〜7月期には同等となり、8〜10月期は窒素3/4、窒素3/4・EC1/2、対照の順に多くなる。秀品数は収穫期間を通じていずれの濃度においても収量のおよそ半数である(図1)。
- 切り花長は前期には濃度による差がみられないが、後期(5〜10月)は濃度の低い方が長くなる。葉面積および葉色は低温期の1月には高い濃度で、高温期の8月には逆に低い濃度で優れる。窒素3/4・EC1/2では、1月の花持ち日数は短いものの、8月には長くなる(表2)。
- 高温となる後期(5〜10月)に窒素3/4・EC1/2の低濃度培養液で管理しても従来どおりの収量および品質を確保することができる。
[成果の活用面・留意点]
- 給液量が多くなる高温期に低濃度の培養液で栽培できるため、肥料費も削減できる。
- 他の品種については、さらに検討が必要である。
- 盛夏期には、1日の1株当り給液量を 350ml 以上とする。
- 表1 [具体的データ]
[その他]
研究課題名:黒潮フラワーエリア産地化推進技術開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成3〜11年)
研究担当者:伊藤吉成、上山茂文、上島良純
発表論文等:なし
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