小型容器を用いた花壇苗栽培における底面マット給水技術


[要約]
夏播きパンジーなど多くの花壇苗は、小型容器を用いた底面マット給水による栽培が可能であった。
鳥取県園芸試験場・花き研究室
[連絡先] 0858-37-4211
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専 門] 栽培
[対 象] 花き類
[分 類] 指導

[背景・ねらい]
 花壇苗は、単位面積当たりの増収を図るため、従来の9pポットより小型の容器による栽培法の確立が求められている。しかし、小型容器栽培では灌水に一層多くの時間を要するため、給水マットを利用した省力的な灌水法について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 底面マットは常に湿らせて、常時給水の状態とする。
  2. 底面マット給水で栽培した夏播きパンジーの草丈、株幅、被度、花径などの品質は、手灌水によるものと差がない。しかし、最大葉長と根の褐変程度は、灌水方法の違いで統計上に差が見られるが、いずれも実用上問題になる程度ではない(表1)。
  3. 夏播きパンジーの他、秋播きパンジー、ベゴニア、デージー、インパチェンス、ビンカ、カスミソウ、コスモスも、鉢上げ初期に補助的に手灌水を行うだけで、底面マット給水による栽培が可能である(表3)。
  4. サルビア・ファリナセアは底面マット給水を行うと、手灌水に比べて草丈が高く、徒長気味になる(表2)。これは、同じサルビア類のスプレンデンスでも同様であった(データ省略)。なおマット給水時に、鉢の下敷き資材として有孔黒マルチを用いると根の褐変が著しいが、小型ポットの鉢下に有孔反射マルチを敷くと有孔黒マルチに比べて根の状態が改善する。

[成果の活用面・留意点]

  1. 底面マット給水を利用したサルビア類の栽培は徒長気味となることから、わい化法などの検討が必要である。また、根の褐変が若干発生するので、長期の利用には不向きである。
  2. 鉢の下敷き資材の実用的な利用については、栽培時期や品目毎の検討が必要である。

[その他]
研究課題名:花壇用苗物の需要拡大のための高位生産と軽作業化技術
予算区分 :地域重要(国補)
研究期間 :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:齊藤  哲
発表論文等:なし

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