チャの秋整枝適期予測法
- [要約]
- 温度変換日数法を用いて再萌芽率を計算することにより、再萌芽率を一定以下に抑えるための秋整枝時期を予測することができる。
京都府立茶業研究所・栽培課
[連絡先]0774-22-5577
[部会名]茶業
[専 門]栽培
[対 象]工芸作物類
[分 類]指導
-
[背景・ねらい]
- 整枝時期が遅いと翌春の一番茶萌芽が遅延するため、秋整枝は再萌芽が問題とならない範囲でできるだけ早く実施することがよいとされている。しかし、最近では秋季高温年が多いため、再萌芽によって再整枝が必要になったり、再萌芽した芽が凍霜害を受けやすくなり、翌年一番茶の芽揃いや製茶品質への影響が懸念される。そこで、秋整枝以後の気温が再萌芽率に及ぼす影響を明らかし、再萌芽率を一定以下に抑えるための秋整枝時期を予測する。
[成果の内容・特徴]
- チャの再萌芽率は秋整枝日が早いほど高まり、整枝時期の日平均気温が18℃を超えると、側芽再萌芽率は10%以上になる傾向が大きい(表1)。
- 側芽再萌芽率と整枝日から再萌芽率調査日までの日平均気温の関係は、従来の積算気温法に比べて、温度変換日数法を用いることによって精度良く表わすことができる(図1)。
- 側芽再萌芽率が5%程度になる時期以降を目安に秋整枝を実施することにより、再萌芽した頂芽の開葉を抑えることができ、摘採面を揃えることを目的とした再整枝が不要となる(図2)。
- 側芽再萌芽率を一定以下に抑えるための秋整枝時期は、上記温度変換日数法の各パラメータを表計算ソフトに組み込んで作成した「チャの秋整枝再萌芽率予測」を用いて求めることができる(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- 再萌芽率予測の対象品種は‘やぶきた’である。
- 各地域の気温データの入手には、メッシュ気象予測システム等を用いる。また、再萌芽率の予測には、表計算ソフトExcelが必要である。
- 再整枝実施を前提とする場合は、既存の報告どおり再萌芽率が10〜20%になる時期に秋整枝する。
[その他]
研究課題名:秋整枝時期が再萌芽率に及ぼす影響
予算区分 :府単
研究期間 :平成12年度(平成8〜12年)
研究担当者:藤原敏郎、市田孝博、荻安彦、工藤康將
発表論文等:平成12年度京都府普及に移す研究成果
目次へ戻る