覆い下茶の粗揉工程に適した乾燥速度式の確立と機械制御プログラムの開発


[要約]
煎茶において明らかにされている粗揉工程中の乾燥速度を表す式を、覆い下茶に適応できるよう検討し、投入量や給気乾球温度等の製茶条件を入力することにより粗揉操作条件をパソコン画面上に表示するプログラムを作成した。
京都府立茶業研究所・製造課
[連絡先]0774-22-5577
[部会名]茶業
[専  門]利用加工
[対  象]工芸作物類
[分  類]研究

[背景・ねらい]
 玉露やかぶせ茶は、生葉の含水率が高く、茶葉が柔らかなこと等により煎茶と異なる乾燥経過を示すが、これに対応した製茶法には不明の部分も多い。そこで、煎茶において明らかにされている乾燥速度の予測式を用い、覆い下茶の粗揉工程における乾燥速度について検討し、粗揉機操作条件を設定する方法について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 覆い下茶は、煎茶と比べ乾燥速度が小さく、それに伴い含水率の減少経過も緩やかで、乾燥に時間を要することが明らかとなった。
     また粗揉機の葉打ち操作期間と粗揉操作期間で乾燥速度が異なり、乾燥が進むにつれて乾燥速度が小さくなった。(図1図2
  2. 覆い下茶の乾燥速度は、質量風量比の係数をa=0.272、b=1.151とすることで推定できる。(図1図2
  3. 覆い下茶に適した操作条件について、初期含水率、投入量、給気乾球温度、湿度、設定茶温及び葉打ち工程熱風温等を入力すれば粗揉各工程の熱風温度、風量、及び所要時間を表示するプログラムを作成した。(図3

[成果の活用面・留意点]

     粗揉操作を葉打ち機と粗揉機を用い分割して製茶する場合、葉打ち機の操作期間初期において、計算値の乾燥速度より実測値の方が低く推移する傾向がある。
式1 [具体的データ]

[その他]
研究課題名:覆い下の乾燥特性に適応した機械制御
予算区分  :府単
研究期間  :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:瀬戸谷隆治、村上宏亮
発表論文等:覆い下茶の乾燥特性に適応した粗揉操作、茶業研究報告、第90号(別冊)、112-113、2000.
            覆い下生葉の乾燥特性に適応した粗揉制御、京都府立茶業研究報告、第23号、41-45、2001.

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