牛糞の堆肥生産における黒字運営施設の特徴と流通促進上の課題
- [要約]
- 堆肥生産施設を適正に運営して牛糞堆肥の流通を促進させるためには、堆肥の良品生産の徹底と取り扱いやすい形態及び独自ブランドにより、多様な販売ルートで多様な消費者へ販売することが重要である。
岡山県農業総合センター農業試験場・経営調査研究室
[連絡先]08695-5-0271
[部会名]営農
[専 門]経営
[対 象]家畜類
[分 類]指導
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[背景・ねらい]
- 近年、畜産部門の環境汚染問題の解決や耕種部門等の環境保全型農業の確立のためには、家畜糞尿の堆肥化、特にその取組が遅れている牛糞を堆肥として流通させることが重要である。そこで、全国の牛糞堆肥生産施設の実態調査から黒字運営施設に注目し、その特徴から堆肥施設を適正に運営して牛糞堆肥の流通を促進させるための課題を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 黒字運営施設では良質な堆肥を生産するために、堆肥の発酵期間を3〜6か月間程度にすると同時に、堆積発酵期間や堆肥の切り返し回数に配慮している。また、堆肥の商品化に当たっての荷姿は「ポリ袋入りのみ」が多く、しかも1袋当たりの重量は「10〜20kg」と取り扱いやすくしている(表1)。
- 黒字の主な要因では「自社ブランドがある」、「製品の品質が良い」が多いものの、個人・法人施設では自社ブランドの開発や品質向上等が黒字運営をもたらしているという認識に対して、農協や市町村・公社では好調な需要があるという認識が強く、運営主体の違いによる意識格差がみられる(表2)。
- 堆肥の販売では、主流となっている自家施設での直売や農協販売だけでなく、ホームセンター、肥料専門店等多様な販売ルートを確保している。また、目標としている主な顧客は農家だけでなく、一般消費者、造園業者等多岐にわたっている(表3)。
- このことから、堆肥生産施設を適正に運営しつつ牛糞堆肥の流通を促進させるためには、1)良質堆肥の生産に向けた作業の徹底を図ること、2)堆肥は取り扱いやすい荷姿と重量にし、独自ブランドにより多様な販売ルートで多様な消費者に販売することである。
[成果の活用面・留意点]
牛糞堆肥施設の適正な運営を図るための指針の一つとして活用できる。
[その他]
研究課題名:中山間地における省力・低コスト・環境負荷軽減型水稲栽培体系の導入条件の解明〜稲作・畜産農家の連携システムの解明〜
予算区分 :地域基幹
研究期間 :平成12年度(平成11〜15年)
研究担当者:坂本定禧
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