エンバク前作とマルチ栽培によるダイコンのキスジノミハムシの防除


[要約]
5月および9月播きダイコンの前作にエンバクを栽培すると、キスジノミハムシの被害が減少する。マルチを組み合わせるとさらに効果が高い。
  奈良県農業技術センター・高原農業振興センター
[連絡先]0745-82-2340
[部会名]生産環境(病害虫)、野菜・花き(野菜)
[専  門]栽培
[対  象]根菜類
[分  類]普及

[背景・ねらい]
 宇陀郡内はかつてはダイコンの産地であったが、キスジノミハムシの幼虫による被害等により生産が不安定となり、面積が減少している。産地の持続的な生産を期するため、エンバクとダイコンの輪作とマルチ栽培によるキスジノミハムシの防除効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ダイコンの前作にエンバク‘ニューオーツ’を作付けする。5月播きダイコンの前作としては前年10〜11月、8〜9月播きダイコンの前作として4〜5月に10kg/10a播種する。エンバクはダイコン播種1カ月前に青刈りし、鋤き込みする。ダイコンの生育に対する悪影響は認められない。
  2. 5月播きダイコンでは、前作エンバク栽培のみでも防除価67で効果が認められる。これに黒マルチを併用すると防除価93で効果が高まる。黒マルチのみでは防除価48で効果はやや劣る(表1表2)。
  3. 8月播きダイコンではキスジノミハムシの発生盛期にあたるため、防除価0〜14で十分な効果は得られない(表3)。
  4. 9月播きダイコンでは前作エンバク栽培で防除価72と効果が認められ、黒マルチを併用すると防除価85で効果が高い(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本技術は5月、9月播きダイコンでは効果があるが、8月播きダイコンでは十分な効果が得られない。
  2. エンバクの腐熟期間が短いとダイコンに岐根を生じる恐れがあるので、播種1カ月前にはエンバクの鋤き込みを行う。
  3. 前作エンバク栽培はネグサレセンチュウに対する防除効果が認められる。

[その他]
研究課題名:流通の多チャンネル化に対応した中山間特産野菜・花きの育成と栽培体系の見直し・持続的生産のための輪作によるダイコンのキスジノミハムシ防除
予算区分  :県単
研究期間  :平成12年度(平成11年〜12年)
研究担当者:中野智彦  
発表論文等:なし

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