ヤノネカイガラムシに対するブプロフェジン水和剤の防除効果低下と代替薬剤
- [要約]
- カンキツ類のヤノネカイガラムシに対し、ブプロフェジン水和剤の防除効果の低下が初めて確認され、代替薬剤として97%マシン油乳剤200倍、イソキサチオン乳剤1000倍、DMTP乳剤1500倍やクロルピリホス乳剤1000倍が有効である。
和歌山県農林水産総合技術センター・果樹園芸試験場・病虫部
[連絡先]0737-52-4320
[部会名]生産環境(病害虫)
[専 門]作物虫害
[対 象]果樹類
[分 類]普及
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[背景・ねらい]
- 有田地域のカンキツ園でヤノネカイガラムシを対象にブプロフェジン水和剤を散布しているにもかかわらず、本種の発生が増加し問題となっている。そこで、本剤の防除効果を再検討し、その代替薬剤について探索する。
[成果の内容・特徴]
- 1992年の吉備町A園におけるブプロフェジン水和剤1000倍のヤノネカイガラムシ防除効果は認められたが、2000年の有田市B園(過去6回散布)では防除効果の低下が認められる(図1)。
- 6月上旬(1齢幼虫最多寄生期)の防除試験では、97%マシン油乳剤は死虫率100%と防除効果が高い。ブプロフェジンフロアブル1000倍の死虫率は同水和剤1000倍に比べ高いが、生存虫が残存する(表1)。
- 6下旬(2齢幼虫最多寄生期)の防除試験では、イソキサチオン乳剤1000倍は最も防除効果が高く、次いでマシン油乳剤200倍が優れる。クロルピリホス乳剤1000倍、DMTP乳剤1500倍も防除効果は認められる。PAP乳剤、アセタミプリド水溶剤の防除効果は認められるが、その効果は不十分である(表2)。
- したがって、ブプロフェジン水和剤の防除効果低下園では1〜2齢幼虫最多寄生期には97%マシン油乳剤200倍、2齢幼虫最多寄生期にはイソキサチオン乳剤1000倍、DMTP乳剤1500倍、クロルピリホス乳剤1000倍の有機リン剤が有効である。
[成果の活用面・留意点]
- ヤノネカイガラムシの防除が不十分な要因には、上記以外に散布方法、散布技術の問題点等もあるが、前年にブプロフェジン水和剤を散布しても発生が認められる場合は、本剤の効果低下を疑い、代替薬剤を用いる。
- 代替薬剤の有機リン剤は防除時期が限定されるので、1齢幼虫の初発から約40日後の2齢幼虫最多寄生期を把握し、この時期を逃さずに散布する。
[その他]
研究課題名:うめ等生産安定技術確立試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成12〜14年)
研究担当者:大橋弘和
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