ナシ白紋羽病のフルアジナム水和剤の植え穴灌注処理による予防対策
- [要約]
- ナシ白紋羽病の発病跡地に改植する場合、苗木植え付け時のフルアジナム水和剤の植え穴灌注処理の防除効果が高く、省力的な処理方法として有効である。
鳥取県園芸試験場・環境研究室
[連絡先]0858-37-4211
[部会名]生産環境(病害虫)
[専 門]作物病害
[対 象]果樹類
[分 類]指導
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[背景・ねらい]
- ナシ白紋羽病の発病樹の治療対策としてフルアジナム水和剤の防除効果が高いことが明らかとなり、すでに実用化されている。しかし、本病に対する発病後の薬剤処理は、根部の掘り上げに多大な労力が必要であり、十分な治療対策が実施されていないのが現状である。このため、苗木植え付け時に省力的で防除効果の高い本剤の処理方法について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 苗木植え付け時のフルアジナム水和剤500倍液の植え穴灌注処理は、苗木を植え付けた直後に、苗木の周囲半径1mの範囲を放射状に50カ所程度、1樹当たり50Lの薬液を土壌注入器を用いて土壌注入する。
- フルアジナム水和剤500倍液の植え穴灌注処理は、改植(薬剤処理)1年6カ月が経過した時点で、ナシ白紋羽病の発病がほとんど認められず、高い予防効果を示す。これに対し、同剤の根部浸漬処理は苗木がほとんど枯死し、防除効果はほとんど認められない。
- フルアジナム水和剤500倍液の植え穴灌注処理では根の菌糸付着がほとんど認められず、細根の発生量が多く、地上部の生育状況が良好である。
- 苗木植え付け時の植え穴灌注処理は、動力噴霧機に連結した土壌注入器を用いることで作業労力が少なく、一度に多数の苗木に対して薬剤処理が可能であるため、省力的である。
[成果の活用面・留意点]
- 苗木植え付け時にフルアジナム水和剤で灌注処理後、定期的に1〜2年に1回程度、土壌注入器による同剤のナシ樹の株元注入で、さらに高い防除効果を維持できるものと期待される。
- 苗木植え付け時に粗大有機物や未熟な堆肥を施用すると、病原菌の繁殖源になるので、有機物を施用する場合は、完熟した堆肥を用いる。
- 表1 [具体的データ]
[その他]
研究課題名:鳥取県の産地存亡に係る果樹・野菜の重要障害の防止対策の解明
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成9〜13年)
研究担当者:安田文俊、渡辺博幸
発表論文等:なし
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