ブルーベリーを加害する昆虫相とシャシャンボツバメスガに対する薬剤の防除効果
- [要約]
- ブルーベリーの幼木を加害する昆虫相の調査で採集されたのは、シャシャンボツバメスガ、マイマイガ、イラガ、リンゴドクガ、シャクガ類など、4目約30種である。シャシャンボツバメスガ幼虫に対するルフェヌロン乳剤、BT剤、MEP乳剤の薬剤防除効果は高い。
奈良県農業技術センター 環境保全担当・虫害防除チーム
[連絡先]0744-22-6201
[部会名]生産環境(病害虫)
[専 門]作物虫害
[対 象]他の果樹類
[分 類]研究
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[背景・ねらい]
- ブルーベリーはこれまで問題となる病害虫が少なく、防除もほとんど行われていなかったが、平成10年9月に本県中山間部の一部で数種鱗翅目昆虫が多発し、食害による幼木の生育遅延などの被害が生じ、問題となった。しかし、ブルーベリーを加害する昆虫の種類や発生時期についての日本における知見は少ない。そこで、加害昆虫種及び加害状況を明らかにし、発生の多かったシャシャンボツバメスガに対する薬剤防除効果を調査する。
[成果の内容・特徴]
- 平成11年及び12年の調査で採集された加害昆虫は4目約30種である(表1)。
- 幼木の生育に影響を及ぼす被害を出すのは主に鱗翅目昆虫と考えられ、特に、新葉を食害して新梢伸長を阻害するシャシャンボツバメスガ幼虫、及び食害量の多いイラガ、マイマイガ、リンゴドクガ、シャクガ類の幼虫が問題となる。また、ミノガ類、ナシケンモン、ハスモンヨトウも多発すると問題になると考えられる。
- 平成11年は加害昆虫の発生種数が多く、5月と9〜10月に葉の食害が多かった。一方、12年は発生種数は少なかったが、シャシャンボツバメスガが多発した(図1)。加害昆虫の発生種、発生量は年により差異が見られる。
- シャシャンボツバメスガ幼虫に対するルフェヌロン乳剤、BT剤、MEP乳剤の防除効果は高い(表2)。
[成果の活用場面・留意点]
- 注意すべき害虫の種類と発生時期を生産者に示し、捕殺による防除を指導する。
- ブルーベリーの害虫に対する登録薬剤はないため、農薬登録が必要である。
[その他]
研究課題名:ブルーベリーを加害する昆虫の時期別発生種
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成11〜12年)
研究担当者:松村美小夜、福井俊男
発表論文等:ブルーベリーを加害する時期別発生種(講要)、関西病虫研報、42号、98、2000.
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