モモの高糖度園における土壌特性


[要約]
糖度の高いモモ(清水白桃)園は、土壌の透水係数が高く、土壌硬度が低い。また、土壌の全窒素、可給態窒素含有量が必要以上に多くなると、糖度の低いモモ園の割合が増加する。
岡山県農業総合センター・農業試験場・化学研究室
[連絡先]08695-5-0271
[部会名]生産環境(土壌・気象)
[専  門]肥料
[対  象]もも
[分  類]指導

[背景・ねらい]
 本県南部地域の非破壊糖度光センサーを導入したモモ産地では、各園地の糖度データから、安定した高糖度園がある一方、恒常的な低糖度園も認められる。そこで、産地の標準的な栽培管理を行い,平均的着果量のモモ園のうち、高糖度園23園、低糖度園13園を選定して土壌調査を行い、糖度の高いモモ園と糖度の低いモモ園の土壌理化学的特徴を明らかにする。調査園の土壌は、粘質土壌が細粒黄色土,砂質土壌が中粗粒黄色土である。

[成果の内容・特徴]

  1. 主要根群域における透水係数が10-5 cm/sec.以下及び土壌硬度が25mm以上の土層を含む園地は、高糖度園の割合が少ない(図1図2)。
  2. 土壌の透水係数が10-4 cm/sec.以上で土壌硬度が25mm未満の園地について,主要根群域の全窒素含有率の頻度分布をみると,0.09%を超える園地では,土性に関わらず高糖度園の割合が少ない(図3)。
  3. 7月に採取した土壌の可給態窒素含有量は、風乾土100g当たり4mg以下では糖度の高い園地が多く、4mgを超えると低い園地の割合が多くなる(図4)。
 [具体的データ]

[成果の活用面・留意点]

  1. 有機物の施用は、土壌物理性の改善、地力向上の効果が高いが、土壌中の全窒素・腐植含有率や樹勢などを考慮して施用する必要がある。

[その他]
研究課題名:高糖度モモ生産のための栽培管理指標の策定
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成9〜13年度)
研究担当者:山本章吾、高野和夫

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