チンゲンサイ根圏土壌における窒素の形態変化およびプロテアーゼ活性
- [要約]
- チンゲンサイの根圏土壌は無機態窒素、水抽出タンパク質、アミノ酸含量が多く、またプロテアーゼ活性も高いことから、根圏においてタンパク質を分解して吸収している可能性が高い。
島根県農業試験場・環境部・土壌環境科
[連絡先]0853-22-6650
[部会名]生産環境(土壌・気象)
[専 門]肥料
[対 象]葉茎菜類
[分 類]研究
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[背景・ねらい]
- 有機物施用土壌における窒素吸収量には作物によって差があり、チンゲンサイ、ニンジンは多くの窒素を吸収する事例が報告されている。すなわち、これらの作物は土壌中の有機態窒素も吸収・利用している可能性が高い。しかし、これらの作物の有機態窒素吸収機構は明らかにされていないので、有機物施用が作物根圏における窒素の形態変化およびプロテアーゼ活性に及ぼす影響を調査し、作物の有機態窒素吸収機構を検討する。
[成果の内容・特徴]
- チンゲンサイ根圏土壌の無機態窒素含量は約200mg・Kg-1 乾土であり、他の4作物の2〜4倍であった。また、チンゲンサイ根圏土壌の無機態窒素に占めるアンモニア態窒素の割合は、他の作物よりも明らかに高い(図1)。さらに、根圏土壌のアミノ酸含量も極めて多く、他の作物の10倍以上である(図2)。
- ニンジン、チンゲンサイ根圏土壌から1/15M中性リン酸緩衝液で抽出されるタンパク質(土壌吸着タンパク質)は、ダイズ、インゲン、トウモロコシに比べて少ない。一方、水で抽出されるタンパク質(遊離タンパク質)はニンジン、チンゲンサイの根圏土壌で多い(図3)。このことから,チンゲンサイ、ニンジンは土壌からタンパク質を遊離させた後に利用している可能性がある。
- チンゲンサイ根圏土壌のプロテアーゼ活性は、他の作物に比べて明らかに高い(図4)。
[成果の活用面・留意点]
- ニンジンが有機態窒素を利用する機構は不明である。
- 化学肥料を減らした持続性の高い生産方式にチンゲンサイを導入しやすい。
[その他]
研究課題名:有機物の施用が野菜の生育及び品質関連成分に及ぼす影響の解明
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成9〜12年)
研究担当者:安部聖・松本真悟
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