分光放射計を活用した水稲の生育量および窒素栄養状態の計測
- [要約]
- 光ファイバーを装備した分光放射計を使用し、穂ばらみ期から穂揃い期の水稲群落の直上60p以上で計測した相対反射スペクトルの微分データから、水稲窒素含量および乾物重が推定でき、籾数及び玄米窒素濃度を予測できる。
山口県農業試験場・生産環境部
[連絡先]083-927-7011
[部会名]生産環境(土壌・気象)、総合農業(情報研究)
[専 門]肥料
[対 照]稲類
[分 類]研究
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[背景・ねらい]
- 良食味米を生産するためには、水稲生育に合わせた適切な栽培管理が不可欠であり、水稲の栄養診断による生育制御技術の開発が進められている。そこで、光ファイバーを使用した分光放射計を応用して、太陽光を光源とした水稲群落の連続した吸光スペクトル(300〜1000nm, 2nm間隔)を瞬時に計測し、隔測により稲体窒素濃度および乾物重を推定し、同時に収穫時の籾数や玄米窒素濃度を予測する。
[成果の内容・特徴]
- 冷却式のCCD付きフォトダイオードアレイセンサを装備した瞬間測光システムMCPD3000(大塚電子)により、太陽光を光源とし、水稲群落の白色板に対する相対吸光スペクトルを測定する。群落の上面から60cm以上の高さの測定値は、微分することにより変動が小さくなり、また、太陽高度や雲の状態に左右されない(図1,図2)。
- 穂ばらみ期のヒノヒカリ、穂ぞろい期のコシヒカリ、晴るるおよびひとめぼれの稲体の窒素濃度は、二次微分スペクトルの重回帰により推定できる (標準誤差,0.06%)(図3)。
- 穂ばらみ期の一次微分スペクトルの重回帰により、乾物重が推定でき(72.1gm-2 )、収穫時の籾数(1.6千粒m-2 )および玄米窒素濃度(0.02%)を予測できる(図4)。
[成果の活用面・留意点]
- 実用化するためには、年次を重ねて、推定精度を高める必要がある。
[その他]
研究課題名:葉身窒素計を活用した良食味米安定生産技術の確立
研究期間 :平成12年度(平成11年〜13年)
研究担当者:徳永哲夫、久保喜昭
発表論文等:2001年土壌肥料学会発表予定
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